第3回リノベVS静かに暮らす権利? 50年マンション「第一世代」の憂鬱

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石川春菜
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 ガガガガガガ……

 ダン! ダン!

 また今日も、工事の音が鳴り響く。

 「『静かに暮らす権利』は、ないのでしょうか」

 埼玉県内にある築50年ほどのマンションで、新築当初から暮らす女性(69)は嘆く。

 約150世帯のこのマンションでは、現在3件の内装工事が同時に進んでいる。

 うち1件は女性の部屋の隣。もう1件は、3階上だが真上にあたる。

 壁やブロックを破壊したり、大きな物を運んだり。振動も、壁に飾っている絵や写真の額が傾くほどだ。ひどいときは日中ずっと、騒音や振動に苦しめられる。ときには、コンクリートが発するのか、むわっとした独特の臭気まで、室内に立ちこめる。

 ようやく静まったと思ったら、突然のドリルのような音に、驚いて声をあげてしまったこともある。飼っている猫は、おびえているのか、毛を逆立てる。

 工事前に、業者はタオルを持ってあいさつに来た。しかし、女性は言う。

 「それだけで2~3カ月も忍従の日々を過ごすのかと思うと、やりきれない。気持ちよく新住民を受け入れられそうにありません」

マンション内で複数が同時進行しているリノベによる騒音や振動に悩む女性。そこでも「没交渉」が心境を複雑にしているようです。リノベによる騒音や振動をめぐる規制はどうなっているのでしょうか。トラブルを避けるためにできることは。記事後半で紹介しています。

 大都市圏で新築マンションの価格が高騰するなか、中古物件を改修する「リノベーション」が人気だ。

 女性が住むマンションにも、その「波」が押し寄せている。

 背景には、住民の高齢化がある。

 新築当初からここで暮らす「第一世代」は、亡くなったり、高齢者施設に移ったりと、「消えつつある」。孤独死も、珍しいことではなくなった。

 手放す人も増える一方で、代わりに増えているのがリノベーションなどをして新たに入ってくる人たちだ。都心への通勤通学に便利な乗換駅までほど近いこともあり、高経年にもかかわらず人気があるらしい。

 女性の家のポストにも、「売る人はいませんか」というチラシが頻繁に入る。そこには、業者がリフォームするので「そのまま退去OK」という内容も添えられている。

 新しい入居者が決まるのと、大規模な内装工事が始まるのはほとんどセットだ。

 特に耐えがたいのは、4~5…

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