「意図的に政治化」された中絶問題 米国で大きな論争となった背景

有料会員記事

チャンバーズバーグ=藤原学思、ニューヨーク=中井大助
[PR]

 米国で「妊娠中絶合衆国憲法で保障された権利である」との判例が覆される可能性が高まっている。中絶は長く、米国を二分する問題とされてきたが、なぜこれほど論争の的になるのか。

 「すべての赤ん坊には生きる権利がある。みなさんはどう思いますか」

 会場に、大きな拍手が響く。5月17日、米東部ペンシルベニア州チャンバーズバーグ。11月の州知事選に向け、共和党予備選で圧勝した元陸軍大佐、ダグ・マストリアーノ氏(58)は、極端な中絶反対派だ。

 同州では現在、妊娠24週までの中絶が認められている。だが、マストリアーノ氏は知事になった場合、例外なく中絶を禁止する意向を示している。レイプや近親相姦(そうかん)による妊娠や、妊娠を継続すれば母親の命に危険が及ぶ場合も認めない。

 こうした考え方はどこからくるのか。

 一つは宗教だ。集会では、ク…

この記事は有料会員記事です。残り1911文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    沢村亙
    (朝日新聞論説委員=国際政治、歴史)
    2022年6月15日14時59分 投稿
    【視点】

     人工妊娠中絶の是非は、米国社会を分断する様々な問題の中でも、とりわけ「是」と「非」を分かつウェッジ(社会にくさびを打ち込む)イシューだ。記事にもあるように、中絶反対派の集会はカトリックやキリスト教福音派などの宗教色が充満し、冷静な対話や論