第1回「もうあきらめた」顔が見える関係づくり、マンション元理事長の嘆き

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森本美紀、石川春菜
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 「顔見知りになって『一杯飲みに行こう』って言えるくらいの関係をつくりたかった。でも、もうあきらめています」

 大阪府内の郊外地区。築22年のマンションで、夫婦で暮らす男性はこうこぼす。

 2000年に50代半ばで入居し、11年4月から1年間、理事長を務めた。その直前には東日本大震災もあった。マンション内でのコミュニケーションが乏しいと感じ、住民に声をかけて茶話会を始めた。

 「花を植えたい」

 「将棋もやりたい」

 「子ども会を立ち上げよう」

 ほかの住民からも、そんな声があちこちから出た。

 男性は「何でもやってみよう」とコミュニティー活動を進めた。集会室の利用が、管理組合の理事会と総会のときの年13回のみで、もったいないという思いもあった。

 そのころ、約200世帯ほどのマンションには子どもが60人ほどいた。育児のために在宅する時間が比較的長い母親も多く、発足した子ども会は桜祭りやクリスマス会など活発に活動していた。

 しかし、子どもの成長につれてフルタイムで働くようになった人が1人辞め、2人辞め……。リーダーを担う人がいなくなり、5年ほどで活動を維持できなくなった。

マンションでの互いに「没交渉」な暮らしぶりは、ご近所づきあいのわずらわしさとは無縁な心地よさとしてとらえられてきた面もあります。しかし高齢化を背景に、希薄なコミュニティーでは立ちゆかなくなることも。マンションにおける住民同士の距離感を考えます。

 その後、高齢化を背景に、男性はお年寄りの健康づくりになればと体操サークルを立ち上げた。約20人が参加していた。

 ところが、住民同士の「対立」が起きた。

 体操には参加していない各種…

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    若新雄純
    (プロデューサー・慶応大特任准教授)
    2022年6月17日7時57分 投稿
    【視点】

    僕も村おこしだと思ってマンション理事をやってみた。対応のイマイチな管理会社を共通敵にみんなで団結。残念ながら、人間の村ってそういうものかも。