高校生が金もうけ考えたらダメ? 農産物販売中止→反対で当面認める

久保田一道、藤田大道
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 全国有数の農業産出額を誇る茨城県大井川和彦知事が、今年度から農業系高校で生産した農産物の販売をとりやめる方針を示したことに対し、県議会側が15日、ノーを突きつけた。

 SNS上で現役の農業高校生らが反対を訴えるなど波紋が広がり、県議会の文教警察委員会が方針の撤回を求める提言を採択。提言を受けた森作宜民(よしたみ)教育長は「前向きに検討する」と述べた。県教育委員会は同日、当面は販売を認める考えも示した。

 農産物の販売を取りやめる知事方針は、5月30日にあった定例の記者会見で明らかになった。

 大井川知事は、昨年県内の高校で出荷された生乳に雑菌が混じるトラブルがあったと説明。トラブルの背景に、販売収入を学校運営にまわすため、「もうけなければいけない」という意識があったと主張していた。

 県教委の説明によると、今年度、これまでの販売という形ではなく、無償提供とする方向で学校や市町村との調整をはじめた。ただ「子どものモチベーションを大切にして欲しい」「農業高校に入ったのに販売実習ができないのは悲しい」などとする学校現場の意見も踏まえて方向を見直し、調整が難しいものは、当分の間、販売を続けるとした。

 知事方針をめぐっては、学校現場から困惑の声があがっていた。

 水戸農業高校の部活動「農業研究部」は6月3日、ツイッターで知事の方針について「反対です」と投稿。「本校の文化祭である『水農祭』の実施も再検討になりました」と訴えた。投稿は3千件以上リツイートされ、4500件以上の「いいね」を集めている。

 「水農祭」は、収穫した農産物の販売があり、コロナ禍前には2日間で1万人近くを集めた行事だ。過去2年は感染防止の観点から中止となったが、今年は3年ぶりの開催に向けて準備を始めるところだった。部の生徒の一人は「地味な作業を続け、夏は暑い中作業をする。その成果が、全部0円になるのは悲しい」と語っていた。(久保田一道、藤田大道)

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    内田良
    (名古屋大学准教授・教育社会学)
    2022年6月16日13時27分 投稿
    【視点】

    雑菌が混じるトラブルなど各種リスク管理は、儲けに関係なく徹底されるべき事項です。ただどのような背景があるにせよ、茨城県にかぎらず、教育活動はしばしば「無償」との親和性が高く、「お金儲け」をすると教育活動としてマズいことをしているかのような印

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    氏岡真弓
    (朝日新聞編集委員=教育、子ども)
    2022年6月16日9時20分 投稿
    【解説】

    農業高校の販売取りやめ、残念な対応です。 まず、一つの高校のトラブルで全体にブレーキをかける必要があるのでしょうか。 そして、いまの学習指導要領は「社会にひらかれた教育課程」がウリです。高校では一斉に探究活動に取り組んでいます。社会と接