巨大な無人機飛ばす電池に注目 「金属電池」など次世代型の開発進む

小堀龍之
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 電池を制するものが、未来をリードする――。携帯機器の性能を伸ばし、脱炭素社会を支え、産業競争力のカギを握る「次世代の電池」をめぐり、研究・開発競争が激化している。

 翼を広げた大きさは78メートル、プロペラ10個を持つ無人航空機が飛んでゆく。現在、ソフトバンク傘下のHAPS(ハップス)モバイルが開発中の「HAPS(成層圏通信プラットフォーム)」だ。

 「空飛ぶ基地局」とも呼ばれ、上空で電波を送受信して、インターネットをどこでも使えるようにする。動力はすべて電気だ。電源は太陽電池リチウムイオン電池(LIB)が担う。

 ただ、未来のHAPSはいったん充電すれば半年以上も飛び続けられるようにする計画で、次世代の電池が不可欠だ。

 ソフトバンクは「金属電池」と呼ばれる新型電池を開発している。LIBは負極に炭素系材料を使うのに対し、負極にリチウム金属を使う。電池の性能を示す重量エネルギー密度をLIBより大きくできる。

 次世代電池の候補は、多くのエネルギーを取り出せる「リチウム空気電池」や「全固体リチウムイオン電池」、リチウムを使わない「ナトリウムイオン電池」など様々なタイプがある。

 いま最も注目されるのは、電気自動車向けの全固体リチウムイオン電池だ。トヨタ自動車などが開発を進めており、LIBに比べ、2倍の距離を走れ、3倍の速さで急速充電できるようになるという。早ければ20年代にも市場へ投入される見込みだ。

 電池技術に詳しい科学技術振興機構研究開発戦略センターの眞子(まなこ)隆志フェローは「LIBも開発からここまで普及するのに30年以上かかっている。全固体電池などの次世代電池も、うまく基礎研究を支援して実用化をめざすのが重要だ」と話す。(小堀龍之)