第5回遠のく老後の安心 世代間で平等な負担か、「老後」の後ろ倒しか

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井上充昌 畑山敦子
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 新型コロナパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など、これまで「当たり前」だった風景が揺らいでいます。私たちの社会が歩む道はこのままでいいのか。他に進むべき道はないのか。様々な政策課題を通し、そのジレンマや選択肢の可能性を考えます。今回は高齢社会編です。

 宮城県に住む男性(88)は6月上旬、年金額改定通知書を見て肩を落としました。手取りで月19万円の年金が769円少なかったからです。

 「なんで今、下がるのか」

 自宅にひとり暮らし。年金額は厚生年金の平均14万6千円より多いが、冠婚葬祭など地域の付き合い、病気の姉への援助でお金がかかり、余裕はありません。そこに物価高がのしかかりました。5月の電気代は1万3千円と前年より2割増。灯油代は3倍の9千円でした。

 公的年金は6月に支払われる分から0・4%減額となりました。若い世代の賃金が減ったことが反映されたためです。若い世代が苦しいのは理解できます。でも、釈然としない思いもあります。「誰しも年をとっていくのに、これでは安心とは言えない」

 世界屈指のスピードで高齢化が進んでいる日本。団塊の世代が75歳になり始めました。

 お年寄りが多くなると医療費や年金など、社会保障費として必要なお金が増えます。支え手の若い世代が少なくなり、国の借金は膨らむ一方。「このままで大丈夫だろうか」と思う人も多いでしょう。

 よく、若者3人で1人のお年寄りを支える「騎馬戦型」から、1人で1人を支える「肩車型」になる、と言われます。「若者が倒れてしまう」といったイメージが根強くあります。

 しかし、若者もいずれは年を…

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