暴力、貧困・・・困難抱える女性を支援する新法が成立 運用に課題

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記者解説 編集委員・大久保真紀

 「ようやく扉が開いた。女性福祉の第一歩だ」。お茶の水女子大学名誉教授(ジェンダー法学)の戒能(かいのう)民江さんは、超党派の国会議員が尽力した「困難な問題を抱える女性支援法」(女性支援新法)の成立をこう評する。

 この法律は、暴力や貧困など様々な困難を抱える女性に対する公的支援のあり方を定めるもので、本人の意思を尊重しながら最適な支援を目指す福祉の視点を打ち出した。女性支援の理念の大転換と言える。

売春防止法が根拠だった

 これまでの公的支援である「婦人保護事業」の根拠法は、女性を取り締まりや管理・指導の対象とする売春防止法(売防法)だった。1956年に制定された売防法は「売春を行うおそれのある女子(要保護女子)」の補導処分と保護更生によって売春を防止することがそもそもの目的だ。勧誘罪で執行猶予となった女性を婦人補導院に収容することのほか、各都道府県に設置された婦人相談所の判断で、女性を一時保護所や婦人保護施設に入れて生活や自立を支えることを規定していた。

 時代とともにニーズが多様化し、婦人保護事業の対象者が家庭関係の破綻(はたん)や生活困窮などの問題を抱える女性に拡大した。2001年にはDV防止法が制定されてDV被害者が、また04年からは人身取引被害者、13年からはストーカー被害者も対象になった。

 だが、DV被害者が増加すると、加害者からの追跡を阻止するために一時保護所や婦人保護施設の場所を秘匿する必要が生じ、ただ居場所が必要な一般の利用者の需要には必ずしも応えられない状況が生まれていた。

 虐待や貧困で居場所がなく…

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    吉川ばんび
    (作家・コラムニスト)
    2022年6月18日15時34分 投稿
    【解説】

    24年4月より、暴力被害(による現在の影響や困難を含む)や貧困などを抱える女性を対象にした女性支援新法が施行されます。 “新法では支援対象を「性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性、その他の様々な事情により日常生活または社会生活を