ピクシーも排除されたスポーツ制裁 オシム氏通訳が批判する理由

有料記事ウクライナ情勢

聞き手・笠井正基
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 30年前、国連安保理決議による「スポーツ制裁」を科された国がある。サッカー代表では故イビチャ・オシムさんが率い、ドラガン・ストイコビッチさんらが華々しく世界を席巻した旧ユーゴスラビアだ。いま、ウクライナに侵攻したロシアの選手は多くの国際舞台から除外されているが、果たしてスポーツ制裁は効果があるのか。ユーゴ紛争を取材し、日本代表監督時代のオシムさんの通訳を務めた国際ジャーナリストの千田善(ちだぜん)さんに聞いた。

ちだ・ぜん

1958年生まれ。立教大学講師。5月に亡くなったイビチャ・オシム元サッカー日本代表監督の通訳を務めた。

 ロシアの選手を国際大会から排除すべきだという主張は、心情的にはよく分かります。実際、多くの競技で締め出されている。しかし選手個人が紛争の責任を負うべきなのでしょうか。私自身は、スポーツ制裁には反対です。

 何のためにスポーツ制裁を科すのか。感情論を別にすれば、紛争解決に向けた効果が考えられるでしょうか。

 戦争や紛争を受け、国連安保理決議が科したスポーツ界から締め出す制裁は、過去1度だけありました。1992年ボスニア紛争のユーゴスラビア(当時)に対してです。私は当時、スロベニアで取材しましたが、紛争は3年半も続き、この制裁には紛争終結の効果はありませんでした。

 一方、90年にクウェートへ侵攻したイラクも、「9・11」後にアフガニスタンやイラクへ武力介入した米国も、処分は受けなかった。スポーツ制裁は国際的に認められた標準的な処分ではなく、しかも不公平です。

 全盛期が短い選手にとって出…

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    服部倫卓
    (ロシアNIS経済研究所所長)
    2022年6月19日18時35分 投稿
    【視点】

    ロシアのような国際秩序を破壊する行為を行った国に対して、スポーツ制裁を科すべきか? 正解のない問いだと思う。 私自身、サッカーロシア代表がワールドカップ欧州予選でプレーオフに進出しながら、今般の侵略を理由に失格になってしまったことについて