「ロー対ウェード」半世紀ぶりの見直しか 妊娠中絶の権利の行方は

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ニューヨーク=中井大助
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 米国で、「女性には、人工妊娠中絶を選択する権利がある」と認めた連邦最高裁判例が、約半世紀ぶりに見直される可能性がある。判決が認めた権利とはどのようなもので、何が問題となっているのか。

 妊娠中絶を選択する権利を認めたのは、「ロー対ウェード」と呼ばれる訴訟の判決。1973年に言い渡され、最高裁の歴史でも屈指の著名判例だ。

 訴訟が起こされたのは70年。当時、米国の大半の州では中絶が違法とされ、行った医師は刑事罰の対象になることもあった。ただ、実際には違法な中絶手術が横行していた。また、女性の社会進出の影響により、中絶に関する規制を次第に緩和する動きが出ていた。

 ロー対ウェードで争われたのは、中絶を禁じたテキサス州の法律だった。最高裁の審理は1年以上かかり、通常は1回だけの弁論も2回開かれた。そのうえで、73年1月22日の判決は州法を違憲だとした。9人のうち7人の判事が賛成した結論だった。

中絶を権利として認めた理由は

 多数意見は、「プライバシーの権利は、女性が自らの妊娠を中絶するかどうかを決断することが含まれるのに、十分に広いと考えている」との立場を取った。いわば、女性の自己決定権の一部として中絶を選択できるという考え方だ。

 プライバシー権は、米国憲法

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