「『振付師』って、ローリー(・ニコル)やシェイリン(・ボーン)のことだと思う。いいのかな? 自分は『振付師』っていう大それたものではないんだけど」
今年3月に名古屋の「グランプリ東海クラブ」から独立し、新しいクラブ「LYS」を立ち上げたフィギュアスケートの樋口美穂子コーチ。振り付けのことを尋ねると、照れ笑いを浮かべながら、こう謙遜した。
だが実際は、スケートの指導者であると同時に振付師の「顔」がある。
2018年平昌五輪で宇野昌磨が銀メダルを獲得したプログラムを含め、その振り付けは国内だけでなく、世界的にも評価が高い。
今まではグランプリ東海の教え子で手いっぱいで、他クラブの選手の振り付けはしてこなかった。だが、独立と同時に「うちで振り付けをしてほしい」という依頼が次々と舞い込んできた。
関西の選手を何人か手がけた後、6月に福岡・飯塚クラブの3選手の振り付けを頼まれた。
同クラブの河野由美コーチから依頼されたのは、小学5年の秋元聖輝(こうき)(10)、中学3年の永川(えいかわ)実咲(15)、大学3年の江口璃咲(りさ)(20)。6月7~10日の4日間で、それぞれのプログラムを振り付けた。
河野コーチは言う。
「ずっと美穂子にお願いしたかったけど、今まではできないということだったので、やっと。美穂子には常に新しい発想があって、新しい感覚がある。どれを見ても同じものがない。型にはまったパターンがない」
樋口コーチの振り付け作業の様子を見ていると、「こういう動きをしてみてくれない?」「こんなのできるかな?」と選手と頻繁にコミュニケーションをとりながら、音楽にあわせて動きを作り上げていく。
「現役生活で最後となるフリ…
【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら

フィギュアスケート特集
グランプリファイナルの結果や、注目選手の最新情報はこちらから[記事一覧へ]