きれいに流れる安心な川、釣り人はなぜ不満? 災害復旧の川で考える

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福地慶太郎、安田琢典、東野真和
【動画】防災工事で様子が変わった阿武隈川=安田琢典、福地慶太郎撮影
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 豪雨の季節が近づいてきた。各地ではいまも、豪雨災害を防ごうと河川改修が進む。かつては渓流の環境を守ることと両立させようとする取り組みも目立ったが、災害の悲惨さに直面するなかでかすんでいるようにも見える。アユ釣り解禁を前に考える。福地慶太郎、安田琢典、東野真和

 「これだけ水がサーッときれいに流れれば、誰もが水害は起きないと安心するかもしれない。でも、これではアユが休めるところがないのよ」

 栃木県・那須と接する福島県西郷村。田畑が広がる中を阿武隈川が悠々と流れている。釣り人の人気スポットを見つめ、佐藤正喜さん(71)はぼやいた。防災工事で、川の姿が変わってしまったというのだ。30年以上前からアユ釣りを楽しんできた。いまは阿武隈川漁協の理事として、アユを放流して釣り場を守る立場でもある。

 全長239キロの阿武隈川は、西郷村を源流に福島県内を北上し、宮城県から太平洋へと注ぐ。2019年の台風19号の豪雨で、福島県内7カ所で堤防が決壊した。その後の大雨も含め県内の死者は40人に上った。

 国と福島、宮城両県は10年計1840億円の予算で護岸や堤防復旧などに取り組むことにした。この枠組みとは別に、福島県は県内河川の掘削に着手。土砂を除去して流量を確保し、豪雨に備える目的で、20年度から22年度までの3年間に約250億円を投入し、24年度まで続ける。

 行政にとって、防災最優先は言うまでもない。だが佐藤さんは工事でアユが棲(す)みにくい環境になったのではないか、そこに目を向けないでいいのかと訴える。アユは石の陰など流れが緩やかな場所に居着く。工事で石がほとんどなくなったというのだ。

 一方で県は、阿武隈川漁協の…

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