第91回「地獄」で出産、母子襲った攻撃 泣く泣く逃れた先は親ロシア派地域

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リビウ=福山亜希
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 激戦の末、ロシアに制圧されたウクライナ南東部マリウポリ。ウクライナ人女性(29)は銃弾が飛び交う街を身重な体で逃げ惑い、3月に出産した。生まれたばかりの息子を守るため、女性は街から逃れようと決めた。向かったのは、親ロシア派の支配地域やロシアの影響が強い隣国ベラルーシ。「敵地」に身を寄せざるを得なかった自分のような存在を知って欲しいと、女性は危険を冒してオンライン取材に応えてくれた。

 「地獄から逃れるため、親ロシア派の支配する土地に行くしかなかった。私がウクライナを愛するウクライナ人であることは今後も変わらない」

 女性は涙ながらに繰り返した。滞在中のベラルーシでは政治的な抗議活動は許されない。体制批判だと判断されれば弾圧の対象にもなる。女性は本名を明かさず、取材中はカメラに顔を見せることもなかった。

響き渡った爆発音 夫は「見るな」

 侵攻が始まった2月24日早朝。マリウポリの自宅アパートで就寝中だった女性は、爆発音で跳び起きた。

 当時、妊娠7カ月。夫(31)とお金をかき集め、荷物をまとめて親戚と共に両親のアパートに移った。

 空爆が激しくなり、3月6日から地下室に移った。冷え込みは激しく、おなかの子供が心配だった。何枚も着込み、お湯を入れたボトルを毛布に入れて暖をとった。少しでも暖かいように、皆で寄り添って寝た。

 9日の出来事が忘れられない…

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