「もう斜陽産業ではない」 東京製鉄社長が脱炭素に見いだす鉄の価値

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聞き手・千葉卓朗
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 「水より安い」といわれてきた鉄鋼製品が値上がりしている。要因は原材料価格の高騰だけではない。鉄鋼業界が進める事業構造の改革と、「脱炭素」の動きが重なったことが大きいという。東京製鉄の西本利一社長は、鉄鋼業界は「もう斜陽産業ではない」と語る。どんな光が差しているのか?

 ――鋼材価格が大きく値上がりしています。東京製鉄は2021年度、鋼材1トンあたりの単価を前年度に比べ5割近く引き上げました。鋼材の多くは今、1トン10万円を超えており、「鉄は水より安い」といわれる状況が変わりつつあります。何が起きているのでしょうか?

 「原料である鉄鉱石と石炭の価格が非常に高くなっています。特に石炭は、昨年に比べて2倍以上、ロシアによるウクライナ侵攻後は5倍ほどになりました。こうした原料を使う高炉メーカーの鋼材が大きく値上がりしました。その影響で、価格が安かった鉄スクラップを原料とする電炉メーカーの鋼材を買おうとする動きも強まり、あらゆる鋼材の価格が大幅に上がりました」

鉄鋼業界、「量から質」へ構造変革

 「ただ、鉄鋼業界の構造が変わったことも大きい。日本製鉄やJFEスチールといった高炉大手はここ数年で、国内の生産設備のリストラを進めてきました。鉄鋼需要が減る中で、過剰な生産設備が収益性を悪くしていたからです。生産量を減らして高品質で収益性が高い製品の生産に集中する『量から質』へと経営を転換しました。量を売る必要性が薄まったために、取引先に値上げを求めやすくなりました。これが、電炉を含めた鉄鋼業界全体にも影響し、メーカー同士が低価格を競い合い収益性が低くなる構造が変わりました。東京製鉄も取引先に鋼材の値上げを求め、受け入れてもらいました。交渉は大変でしたけどね」

 ――「脱炭素」の動きが加速…

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