特殊詐欺対策で県警が機器を無償貸与 不審電話防止に効果

近藤咲子
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 電話で市職員などをかたり現金やカードをだまし取る特殊詐欺被害を防ごうと、千葉県警は自動で警告メッセージを流して会話を録音する対策機器を12月まで無償貸与している。

 昨年の県内市町村別で被害件数が169件(被害額約4億4千万円)とワーストだった松戸市で、市内の女性が設置すると不審電話が無くなったという。松戸署は「被害防止に機器導入の検討を」と呼びかけている。

 「詐欺被害は人ごとで、自分は大丈夫と思っていたのにすっかり信じ込んでしまった」

 同市の老人クラブ「はつらつクラブ」連合会会長、白鳥ひさじさん(88)方に3月、特殊詐欺の電話があった。

 「こちら市役所ですが還付金のことでお話があります。ご主人はいますか」

 中年の男がはきはきと電話口で述べた。白鳥さんが「今外出していますが」と応えると、「病院の還付金がだいぶあります」と告げた。夫が不在で電話を切り被害は無かったが、入院などで医療費支出があり「本当に返ってくるのかも」と信じたという。

 帰宅した夫に尋ねると、以前にも同様の電話があったことが判明。対策機器はインターネットや家電量販店などで数千円で購入できるが、白鳥さんは購入をためらっていた。特殊詐欺の電話後、松戸署に相談し、貸与された機器を自宅に設置した。

 対策機器(奥行き約7センチ、幅約11センチ、高さ約3センチ)は固定電話にケーブルでつなぐだけで着信時に自動で警告メッセージを流す。通話内容は最大30件録音し、ボタンで再生できる。白鳥さんは「自動で動くので安心だし、メッセージを聞くとこっちも気をつけなきゃと思う。今は電話を取るときも自分からは名乗らないようにしている」と話す。設置後、不審電話は一度もないという。

 近所でも特殊詐欺の電話が相次ぎ、うその話を信じて現金をだまし取られそうになった人もいた。電話してきた友人は警告メッセージに不審を抱いたが、経緯を話すと「うちにも」と設置に前向きになったという。

 白鳥さんは「貸し出し終了後に購入するつもり。多くの方に薦めたい」と話す。

 県警は機器を400台用意し、5月末時点で約340台を貸し出した。貸与希望者は最寄りの警察署か県警本部生活安全総務課(代表043・201・0110)。また、松戸市は65歳以上がいる世帯に2千円の自己負担で機器設置の助成を実施。他に千葉市市川市なども購入費を補助している。(近藤咲子)