愛犬シロがいたから… 13歳で家出し洞窟で河川敷で生き抜き43年

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上田学
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 親の虐待から逃れるために中学1年生の時に家出し、43年間にわたって山中や河川敷などで野宿生活を送った男性がいる。またの名を「洞窟おじさん」。食べるものすらなく、精神的にも追い詰められた。昭和の半ばから平成までどう生き抜いてきたのか。

 「次から次へと思い出すけど、つらかったね。家出したのは葉っぱが落ちる秋。半年経って靴も服もなくなった。着るものもなくて寒くて、洞窟でバンバン火を燃やして泥を温めてその上で寝た。食べることだけしか考えてなかった」

 そんな壮絶な少年期の体験を語る男性は、群馬県桐生市の障害者支援施設に住み込みで働く加村一馬さん(75)。同県みどり市出身で、終戦直後の1946年8月、8人きょうだいの四男として生まれた。

 家庭は貧しかった。風呂にあまり入れず、学校では「臭い」「汚い」とののしられていじめにも遭った。

 空腹に耐えられず、家ではつまみ食いを繰り返し、それが親に見つかって木の棒で殴られたり、墓石に一晩中縛り付けられたり。きょうだいの中で最も強く当たられた。深い心の傷を負い、耐えられないと学生服のまま逃げ出した。

 人目のつかない場所を求めて線路伝いに歩き出した。線路脇で初めて野宿し、翌日になると聞きなれた犬の鳴き声がした。家でかわいがっていたシロが追いかけてきたのだった。

 家から約40キロ、最初のす…

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    太田匡彦
    (朝日新聞記者=ペット、動物)
    2022年6月24日20時5分 投稿
    【視点】

     親からの虐待を逃れるために子どもの頃に家出し、40年以上も野宿生活を送ったという男性自身が、取材に「でも、もう1人じゃ暮らせねえよね」と話している。家出した男性を追ってきた愛犬シロも「1人じゃ暮らせねえだろ」と思って、男性に寄り添ったので