仏総選挙、マクロン氏与党が大幅過半数割れ 政権運営は不安定に
フランス総選挙(下院・国民議会選、定数577)の決選投票が19日にあり、マクロン大統領の「共和国前進」を軸とする与党連合(中道)が過半数(289)を大幅に下回る敗北を喫した。一方で、左右両極の勢力が大きく躍進した。内務省の発表と仏紙ルモンドの集計によると、与党連合の議席は246にとどまり、前回(350議席)から100以上減らした。
法案の可決や不信任案の否決には野党の協力が不可欠で、4月に再選されたばかりのマクロン氏は厳しい政権運営を迫られる。
ウクライナ危機に伴う物価高やエネルギー高騰への不満も、与党敗北の一因とみられる。フランスでは外交は主に大統領の役割で、マクロン氏は欧州連合(EU)の対ロシア経済制裁やウクライナ支援を主導してきた。ただ、これらは内政にも直結するため、今後、マクロン氏の外交も一定の制約を受ける可能性がある。
大統領選で決選投票に進んだ右翼ルペン氏の「国民連合」は89議席を獲得し、前回(8議席)の10倍を超えた。政党単位では野党第1党となり、ルペン氏は19日、「我々は揺るぎない野党になる。我々の唯一の方針は、仏国民の利益だ」と述べた。
左派連合は142議席に伸ばした。大統領選で3位に食い込んだ左翼「不服従のフランス」のメランション氏が主導し、中道左派の社会党や環境政党などと選挙協力を実現。格差是正に力点を置く共通公約を掲げた。共和党などの中道右派は64議席(前回136)にとどまった。
ボルヌ首相は19日、「国内外で我々が向かい合う課題に鑑みると、今回の選挙結果はフランスにとってリスクだ」と述べ、安定した政権運営に向け、野党との協力を模索する考えを示した。政権は近く内閣改造をして求心力の回復を図る。
投票率は史上最低だった前回を3・6ポイント上回る46・2%となった。AFP通信によると、下院議員の女性比率は37・3%(改選前39%)だった。(パリ=疋田多揚)
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