IOC委員が語るロシア締め出し スポーツはナショナリズムと決別を

有料会員記事ウクライナ情勢

聞き手 編集委員・稲垣康介
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渡辺守成さん|国際体操連盟会長・IOC委員

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、スポーツ界にも影を落とした。五輪で実施される競技のほとんどはロシアの選手に国際大会から締め出す制裁を科し、6月27日に開幕するテニスのウィンブルドン選手権は、ロシアに加えて同盟国ベラルーシの選手の参加も禁じる。ロシアが伝統的に強豪国である体操の国際連盟(FIG)の会長であり、「平和な社会の推進」を五輪憲章に掲げる国際オリンピック委員会(IOC)の委員でもある、渡辺守成さんに話を聞いた。

わたなべ・もりなり

1959年生まれ。新体操の普及に尽力。2017年から国際体操連盟会長。18年から国際オリンピック委員会委員。

 ――ウクライナでの戦火がやみません。

 「スポーツの魅力は連帯、友情です。今、その価値を具現化できるとしたらまず、ロシアの侵攻で避難を余儀なくされたウクライナのアスリートをどう支援できるかでしょう。FIGは世界のスポーツ界で先駆けて『ウクライナ支援財団』を立ち上げ、連帯の気持ちを示しました。ウクライナの体操代表チームはこの財団の基金で渡航費、宿泊費を賄い、アゼルバイジャンやトルコで練習を続けています」

 ――そんななか、3月にカタール・ドーハで開かれた体操の国際大会での表彰式で、3位になった20歳のロシア選手が戦争支持を意味する「Z」マークを胸に着け、優勝したウクライナ人選手の隣に立つという出来事がありました。

 「裏切られた、というか、悲しいという気持ちが強かったです。ただ、あの20歳の若者がどれだけ正確な情報を得ていたのか、真実はわかりません。情報統制されたなかで、ロシア政府の主張の偏った理屈を信じていたのかもしれない。もちろん、行為自体は決して容認されるべきではありません。FIGの体操倫理財団は、彼に1年間の出場停止処分とメダルの返還を命じました」

 ――現在、FIGはロシア、ベラルーシ選手の国際競技会への参加を禁じています。

なぜ国際体操連盟はロシア、ベラルーシ選手の参加を禁じたのか。スポーツと政治をどうすれば分離できるのか、戦争に対してできるスポーツの役割について、渡辺会長が、広島の被爆2世としてのルーツや東京五輪で見た光景、紛争地訪問の経験などを通して、語ります。

国威発揚のため利用されるスポーツ

 「知っていただきたいのは…

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