「私はプーチン大統領をよく知っています」。そう語るのは、オバマ政権で駐ロシア米大使を務めたスタンフォード大のマイケル・マクフォール教授です。プーチン氏はいま、何を考えているのか。そして、米国はウクライナでの戦争をどう終わらせるべきなのか。ロシア政治の専門家であり、米外交にも詳しい同氏に尋ねました。(ワシントン=高野遼)
――プーチン氏に戦争をやめさせるためにはどうすればよいでしょうか。過度に追い詰めず、面目を保ってやるべきだとの指摘もあります。
プーチン氏にとって、屈辱を止める方法は自ら戦争をやめることです。屈辱の原因は我々ではなく彼にあるのです。多くの人が亡くなっていく一方、ロシアは戦場ではこれ以上の進展は得られそうにない。プーチン氏は自ら戦争をやめ、損失を食い止めるべきです。
私はプーチン氏と交渉をしたこともあり、彼をよく知っています。彼はマクロン仏大統領やバイデン米大統領などから投げかけられる聞こえのよい言葉を気に掛ける人物ではありません。彼が気にするのは中国の習近平(シーチンピン)国家主席の言葉くらいでしょう。
Michael McFaul スタンフォード大教授。専門はロシア政治、米外交。オバマ政権時代の2009~12年に、大統領特別補佐官、米国家安全保障会議(NSC)ロシア・ユーラシア担当上級部長。12~14年には駐ロシア大使を務める。ロシア政治や、世界の民主主義に関する著作多数。ロシアによるウクライナ侵攻後は、専門家として米メディアなどにも多く出演している。
プーチン氏に優しく話しかけ…
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- 【視点】
マクフォール氏は、オバマ政権がメドベージェフ政権を相手に進めた対ロ関係「リセット政策」の発案者として知られています。米国の駐ロ大使も務めましたが、プーチン大統領から睨まれて、今はロシアへの入国が禁じられているといいます。 「リセット政策」