静岡空襲耐えた「奇跡のクスノキ」後世へ 挿し木の幼木を植樹

床並浩一
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 戦時中の静岡空襲を生き延び、戦後復興を見守ってきた「奇跡のクスノキ」を後世へ受け継ごうと、挿し木で育った幼木が空襲から77年の20日、静岡市立竜南小で植樹された。静岡平和資料センターのメンバーが挑戦した約90本の挿し木のうち、成長したのは2本限り。児童たちに「奇跡」のバトンが託された。

 このクスノキは、同市葵区追手町の静岡赤十字病院前にそびえる高さ約15メートルの巨木で、1945年6月19日夜から20日に静岡市内を焼け野原にした無差別爆撃にさらされた。樹皮が焼け焦げ、枯死するのではと心配されたが、3年後に芽吹いた。市民を見守るように成長を重ねていく姿に「私も頑張ろう」と励まされる人も多くいたという。

 だが、根元の生育が阻害されるなどして近年では衰えが激しくなり、2014年、樹木医に「あと20年もつかどうか。子どもを育てるほかないのでは」と診断された。

 「平和のシンボル」としてクスノキに説明板を設置するなど保存運動を続けてきたセンターのメンバー3人は18年、15~20センチほどに裁断した枝を挿し木にして栽培。約30本ずつ、栽培に挑んだが、真田喜代美さん(74)が自宅で育てた2本だけが生き残ったという。

 幼木は植樹に立ち会った児童たちが育てていく。真田さんは「クスノキは1千年も生きるといわれているが、平和でないと生きられない。平和な世の中が続くように願い、児童にバトンタッチしたい」と話した。(床並浩一)