核禁会議がきょう開幕 日本政府は不参加「現実的な取り組みから」

核といのちを考える

ウィーン=福冨旅史、藤原学思、ベルリン=野島淳、シンガポール=西村宏治
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 核兵器禁止条約の第1回締約国会議が21日、ウィーンで始まる。3日間かけて核被害者に対する支援や核廃絶への道のり、条約の批准国をいかに増やすかを話し合う。日本政府は参加しないが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツなどがオブザーバーとして参加する予定だ。

 日本外務省によると、締約国会議に先立って20日に開かれた「核兵器の人道的影響に関する会議」には同省の担当課長らが出席する一方で、核禁条約の会議には参加しない。20日の会議だけに参加する理由について外務省は「(締約国会議とは)別物で、こういう議論に加わることは重要だ」としている。

 日本は条約を批准していないが、締約国会議にはオブザーバーで参加できる。岸田文雄首相は15日、それでも会議に出ないことについて「核兵器国は一国も条約に参加していない。まずは唯一の同盟国である米国との信頼関係の下に、現実的な核軍縮・不拡散の取り組みを進めるところから始めていくべきだ」と説明した。

 一方、締約国会議にはNATOに加盟するドイツやノルウェーベルギーのほか、オーストラリアもオブザーバーとして参加する見通しだ。いずれも、米国の「核の傘」の下にある。

 ドイツのメルケル前政権は核保有国が参加する核不拡散条約(NPT)での議論が重要だと考え、核禁条約は批准しなかった。昨年12月に発足したショルツ政権はその方針を引き継ぎつつ、オブザーバーとしての参加を決めた。

 ベアボック外相は政権発足時、独紙に「オブザーバー参加をしても、NATO加盟国であることや核共有に取り組んでいる事実は損なわれない」と述べる一方で、「長期的には核兵器の削減が達成されてこそ、世界をより安全な場所にすることができる」と指摘した。核保有国の核軍縮交渉を支援しつつ核禁条約の議論にも加わることで、「建設的に伴走したい」との考えだ。

 豪州がオブザーバー参加をする背景には、5月の総選挙で政権与党が核軍縮に前向きな労働党に交代した事情がある。中でもアルバニージー首相は、軍縮に積極的に取り組んできた政治家のひとりだ。ただ、保守勢力には米国の「核の傘」に守られているとの認識が強く、核禁条約の批准に向けてのハードルは高い。

 ウィーンで19日に会見した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のフィン事務局長は日本政府の不参加について、「日本が(核廃絶に向けた各国の)橋渡し役になりたいなら、姿を見せ、相手の話に耳を傾ける必要がある。ボイコットすれば、橋渡し役にはなれない」と批判し、最終日の23日までに代表団を派遣するよう呼びかけた。(ウィーン=福冨旅史、藤原学思、ベルリン=野島淳、シンガポール=西村宏治

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