最高裁判事、女性2人の「異常事態」 存在感が薄い憲法の番人の課題

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聞き手・田中聡子 聞き手 編集委員・豊秀一
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 黒人女性初の最高裁判事の誕生がメディアをにぎわす米国と比べて、日本では最高裁判事の任命に注目が集まらない。存在感の薄い「憲法の番人」のままでいいのか。課題を聞いた。

多様な人材登用で市民とつながれ 山浦善樹さん(弁護士・元最高裁判事)

 私が最高裁判事時代に関わった判決の一つに、2015年の選択的夫婦別姓訴訟があります。婚姻時に夫婦どちらかの姓を選ぶことを強制する民法の規定が憲法違反になるのかが、争われました。私ともう1人の男性裁判官、女性裁判官全員にあたる3人の計5人が「違憲」と考えました。しかし、ほかの裁判官(男性10人)は「合憲」という意見でした。

 多数意見は、裁判官席から、結婚に伴う改姓で苦しんできた上告人に向かって、「旧姓併記ができるから差し支えないでしょう」「二人の合意で決めたことでしょう」と言い放っているようなものです。このような言葉が裁判官の生の声として、ビデオを通じて全国、全世界に中継されたと想像してみてください。人々の信頼を失うのではないでしょうか。

 法廷での裁判官の様子や生の声がライブ中継されるようになれば、裁判に対する市民の関心も高まり、一人ひとりの裁判官の考えや人柄も市民に伝わります。自宅のパソコンで米国最高裁の録音放送を聞くことがありますが、裁判官が訴訟関係者に向き合って審理をしている姿勢がはっきり見えます。故ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が、弁護士時代に最高裁判所でさっそうと意見を述べていた姿を見ると感動します。それから半世紀近くも経つのに、日本の最高裁は、当事者や市民との対話をせず、米国最高裁とは逆の方向を向いていると感じます。

存在感の薄い「憲法の番人」の課題は何か、3人の論者と考えます。記事の後半では弁護士の林陽子さんが、「公平らしさ」が期待される判事の女性の割合がわずか4%であることの弊害を、津田塾大教授の網谷龍介さんが最高裁の「弱さ」を指摘しています。

 同僚だった最高裁判事はいず…

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2022年6月22日8時2分 投稿
    【視点】

    最高裁判事は、官僚人事と同じで最高裁側が官邸に忖度しながら行われるものになっており、司法判断が国民や社会と乖離している構造的課題を明らかにし、改善策も提案している重要な記事です。 歴史的には野党や組合弾圧のために、忖度人事で最高裁判事