中村奨成を縛ったあの夏の記録 人生変えたのは「甲子園よりも広陵」

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聞き手・辻健治
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 第104回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)は、各地で甲子園をめざす熱い戦いが始まった。甲子園で数多くの記録を打ち立てた広陵高校(広島)OBで広島東洋カープの中村奨成捕手(23)に、当時から現在に至るまでの思いを聞いた。

 なかむら・しょうせい 1999年生まれ、広島県廿日市市出身。2017年夏、広陵高(広島)の捕手として第99回大会に出場し、大会記録を更新する6本塁打を放つ。同年秋のドラフト1位で広島へ入団。今季から本格的に外野手にも挑戦している。

 ――高3夏の第99回大会(2017年)に出場。どんな心境で臨んだのか。

 最初で最後の甲子園。もちろん日本一になりたいという目標はありましたけど、甲子園を楽しもうということが一番でした。

 ――1回戦の中京大中京(愛知)戦で2本塁打。

 僕もあんなに打てるとは思っていなかった。あのとき取材でも聞かれましたけど「チームが勝てればいい」とか「チームが勝つように打つ」とか。個人の成績とか気にしてもなかったですし「打てればいいや」ぐらいの気持ちでした。

 ――当時は打撃が好調だったのか。

 広島大会で右手首に死球を受けて、バットが振れなくなった。広島大会の準決勝くらいからちょっとずつ振れるようになって。技術面に関しては不安を抱えたまま甲子園に臨みました。多少は痛かったんですけど、そんなことも言ってられないし、あれだけ打てたのも気持ちの部分が大きかったかな。

 ――チームの前評判は高くなかった。

 新聞とか見ていて、僕らが結果を残すと書いているところがなかった。

 広島を勝ち抜くことは難しい…

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    稲崎航一
    (朝日新聞編集委員=スポーツ、野球)
    2022年7月11日18時1分 投稿
    【視点】

    あの甲子園での6本塁打が、彼を苦しめてきたのだなと分かる良記事です。 少しどぎついですが、名監督の野村克也さんは「ホームランは麻薬」という言葉を残しています。 長距離打者でもない選手が本塁打を打つと、それに酔ってしまい、大振りになっ