人工衛星が観測したビッグデータの利用が広がっています。超小型衛星が開発されたことでコストが下がり、ベンチャー企業でも複数の衛星を飛ばせるようになりました。オンデマンドの観測データが提供されるようになり、ビジネスに活用されています。
衛星データというと衛星写真が有名ですが、それだけではありません。「宝の山」と言われる衛星データはビジネスをどう変え、今後どのような分野で広がるのか。宇宙港を開設して宇宙産業の振興を目指す一般社団法人スペースポートジャパンの青木英剛(ひでたか)理事に聞きました。
――衛星データの活用が進んでいる分野は。
「安全保障分野を除いて、最も大きな市場は農業です。作物の生育状況が把握できるので、栄養価が最も高くなる時期に収穫できます」
「また、利用が急増しているのが損害保険業界です。地震や水害などの災害が発生しても、現地に入ることが難しい場合、建物や農作物などの被害状況を衛星画像で確認します。広範囲を一度に撮ることもでき、保険金支払いまでの期間を短くできるようにもなりました」
――活用が広がったのはなぜですか。
「この10年で、人工衛星の開発費と、衛星を打ち上げるロケットのコストが大きく下がりました。数億円程度の小型衛星を開発・運用する宇宙ベンチャーが現れ、複数の衛星を運用できるようになった。2日に1回、または毎日のように、高い頻度でデータを得られるようになり、活用やサービスが増えました」
「ただ、今は需要に対してま…
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