第3回日本は戦前から「とにかく働け」社会 働けない人への再分配は進むか

有料会員記事参院選2022

聞き手・真田香菜子
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大沢真理・東京大名誉教授

 「世界人助け指数」という国別のランキングがあります。2020年の調査で日本は114カ国中最下位という結果でした。格差が広がる社会で人びとが共に暮らすために、いま何ができるでしょうか。社会政策が専門の大沢真理・東京大名誉教授に聞きました。

世界人助け指数(CAF World Giving Index)は、英国の慈善団体チャリティーズエイド財団が発表している。2009年に始まった調査で、100前後の国の人を対象に、「過去1カ月の間に見知らぬ人を助けたか」「寄付をしたか」「ボランティアをしたか」を聞き取り調査し、その結果を集計して、国別のランキングをつけている。2020年5月の最新調査で、日本は調査対象の114カ国のなかで最下位となった。

人助けへの意欲低下 背景に余裕のなさも

 ――日本は「世界人助け指数」が最下位でした。この結果をどうみますか。

 驚く結果ではありません。。指数の組み立ては、過去1か月に「見知らぬ人を助けたか」「寄付をしたか」「ボランティアをしたか」という三つの質問に、「やりました」と答えた人の割合を合成して総合指数をとり、指数順にランクづけしたものです。2010~19年の調査で日本が100位以内になったことは数えるほどしかなく、19年に発表された10年分の総括でも126カ国中107位。今回で急落したわけではありません。他の国際調査でも、「他人を信頼できるか」(一般的信頼)をたずねるものが複数ありますが、日本は他国と比べ「はい」の回答率が少ないです。信頼出来ない人を助けないでしょう。「人助け指数」で驚くのは、10年分の総括スコアは23%だったのに対して、今回は12%へ半減した点です。

 調査時期は20年5月頃と、コロナ禍による緊急事態宣言が出ていた期間ですが、コロナ禍で人と接することができなかったという条件は日本特有のものではない。だから、「日本人は人を助けない」という結果を受け止めようと思いました。

 ――日本は下位が続いてきたことについて、どんな理由が考えられますか。

 格差社会が続いてきたことが影響していると思います。世界的に見て、貧困率が高い国、経済格差が大きい社会では一般的信頼が低い傾向がある。他人への信頼が高い社会では、取引も円滑になり、経済成長が促進されると考えられています。日本は欧州や韓国と比べ、一般的信頼が低く貧困率もかなり高い。12、13年の調査〈※1〉と17、18年の調査〈※2〉を比べても、似た傾向です。日本社会では、お金、時間、気持ちといろんな意味で余裕がなくて、人助けに向かう意欲も低くなっていると解釈できるでしょう。

 ――大沢さんはこれまで、日本の所得再分配機能は、他の先進国と比べて弱いと指摘してきました。

 政府による所得再分配の前と後で貧困率がどれだけ下がったかを示す「貧困削減率」という指標があります。所得再分配前というのは、税や社会保険を負担し、社会保障の現金給付を受ける前の所得で、貧困率を測ったものです。経済協力開発機構(OECD)による18年の調査で、日本は労働年齢人口については再分配の前後で5ポイントほどしか下がりません。一方、欧州では10ポイント以上下がっている国も多い。高齢人口では、日本でも40ポイントほど下がりますが、世界と比べるとそう高くありません。

 ――貧困削減率が低い理由はなんですか。

 労働年齢人口については、失…

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