有馬温泉で「迷惑をかけました」 忘れん坊の田中希実、2冠の裏側

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こばゆりの今日も走快!

 12日までの4日間、大阪市で陸上の日本選手権がありました。国内一を決める大会です。

 私と同じ兵庫県小野市出身で仲良しの田中希実のぞみ)選手(22)が1500メートルと5千メートルで優勝し、7月に米・オレゴン州で開かれる世界選手権の代表に内定しました。800メートルでも2位に入りました。

 私は現役時代、1500メートルと5千メートルで1度ずつしか優勝したことがありません。出場すること自体、簡単ではない大会での2冠は偉業です。

 ただの2冠ではありません。

 800メートルと1500メートルは予選と決勝、5千メートルは決勝と彼女は4日間で計5本のレースを走りました。しかも、彼女は予選から全力で走るのです。

 800メートル予選は2分4秒台というダントツの好タイムを出し、1500メートルは予選をトップ通過しました。

 勝つためだけなら予選は抑えて、決勝でパワーを出せばいい。

 彼女はそうはしません。

 世界選手権では1500メートルだけでも予選、準決勝、決勝と3レースを走らないといけない。乳酸がたまろうが、筋肉痛だろうが、力を出さないといけないのです。

 世界を見据えていたのです。

 もうひとつ、彼女には3種目に出る理由があります。

 以前、言われたことがあります。

 「祐梨子さん、私忘れん坊な…

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    潮智史
    (朝日新聞スポーツ部記者=サッカーなど)
    2022年6月23日17時47分 投稿
    【視点】

     同じアスリートの視点から、さらに幼いころから知っていてそばで見てきたということも加わって、興味深いエピソードにあふれています。どんな選手なんだろうと気になることが多かった田中選手について、さらに興味を持ってしまいます。  指導者やスタッ

    …続きを読む
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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2022年6月24日16時1分 投稿
    【視点】

    競技は違いますが、「先入観や常識を破る」という意味で、スピードスケート5種目で北京五輪に出場した高木美帆選手と重なります。 高木選手も短期間の大会で、体にきつい負担をかけながらも、複数の種目を滑ることに挑戦してきました。 短距離の5

    …続きを読む