「大学の先生なら早く建ててよ」 被災児童の言葉で始まった住宅研究

有料会員記事

高木智子
[PR]

 東日本大震災の避難所で子どもに言われたことをきっかけに、動き出した研究がある。だれもが手軽につくることができる「インスタントハウス」。実証実験をしている名古屋工業大(名古屋市昭和区)を訪ねた。

 キャンパスの緑地帯に、白いメレンゲ菓子のような丸いシルエットがみえた。インスタントハウスは、童話に出てきそうな愛らしい姿だ。

 30度を超える暑さのなか、北川啓介教授(48)が出迎えてくれた。ハウスに入ると暑さをしのげ、いすやテーブルなどもあって居心地がいい。時折、学生が珍しそうに目を向けるが、中に入ってしまえば、気にならない。

 2011年4月。北川教授は東日本大震災の避難所の状況を調べるため、宮城県石巻市の中学校を訪ねた。寒い日だった。体育館には家を失った被災者が身を寄せ、暖を取り、間仕切りされた狭い空間で互いに気を使いながら過ごしていた。その表情には疲れがにじんでいた。

 小学生の男の子から声をかけられた。数カ月先に仮設住宅ができるというグラウンドを指さし、「どうして仮設住宅を建てるのに何カ月もかかるの? 大学の先生なら早く建ててよ」。返す言葉がなかった。

 被災地から大学に戻り、学生…

この記事は有料会員記事です。残り1453文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【7/11〆切】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら