SNSで広がる精子提供に危機感 男性不妊専門医が国内初精子バンク
第三者の精子や卵子を使って生まれた子どもが、遺伝上の親を知る「出自を知る権利」は、どうあるべきなのか――。
超党派の議員連盟は3月、提供者らの情報管理を担う独立行政法人を設置する新しい法律の骨子案をまとめました。
長年、男性不妊の治療に関わってきた獨協医科大の岡田弘特任教授は昨年、国内で初めての民間精子バンク「株式会社みらい生命研究所」(埼玉県越谷市)を立ち上げました。
岡田さんに、立ち上げの思いや、第三者の精子を使った生殖補助医療の現状について聞きました。
おかだ・ひろし 1954年生まれ。85年神戸大学大学院医学研究科博士課程修了。獨協医科大学越谷病院泌尿器科主任教授を経て2018年獨協医科大学埼玉医療センター病院長。20年から同大特任教授・国際リプロダクションセンターチーフディレクター。21年から株式会社みらい生命研究所代表取締役。
――精子提供者の条件はありますか。
原則として、精子提供開始時に20~40歳の男性です。現在は、医療関係者らを対象にホームページで募っています。
ありがたいことに、口コミや報道で知った人が全国から集まっていて、いずれは医療関係者以外の方にも協力を募る予定です。
SNSでの精子提供、「検査している」と言うが
――長年、大学病院で男性不妊の治療にかかわってきました。なぜ、民間の精子バンクを立ち上げようと思ったのですか。
男性不妊の代表的な原因である「無精子症」の場合、内分泌療法のような治療によって精子の出現を見た場合や、顕微鏡下精巣精子採取術で精子が獲得できた場合は、出産につながることもありますが、約8割は出産につながりません。
そうしたときに、①子どもを持たずに夫婦で暮らす②第三者からの提供精子による人工授精(AID)③特別養子縁組、の三つの選択肢があります。
女性側には不妊の原因はなく…
【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら