第6回「明日はよくなる」と思えた20世紀、人類史では異常な時代だった

有料会員記事参院選2022

聞き手・真野啓太
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長谷川眞理子・総合研究大学院大学

 子世代は親世代より経済的に豊かになるか? 17カ国で尋ねると、日本は最も将来に悲観的でした。次世代の大切さはわかっていても、今を生きるのに必死なとき。次世代のために行動を変える素地が、人間にあるのか。生物の進化に詳しい人類学者、長谷川眞理子さんに聞きました。

「子世代は親世代より経済的に豊かになるか?」という質問は、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが毎年行う国別の世論調査の項目の一つ。2021年春の調査は16カ国で、各国約1千人を対象に電話調査を行った。順位は同年の米国向けの調査を加え、作成した。同センターによると、日本ではこの質問を2013年以降、7回実施。「豊かになる」の回答は、最高が17年の19%、最低は19年の13%だった。

満タンになりつつある先進国の経済成長

 ――親世代より子世代が経済的に豊かになると考えている人が、日本では特に少ないようです。この結果をどう受け止めましたか。

 似たような結果を別の調査でみたことがあり、そのときのショックを思い出しました。

 ――どんな調査でしょう。

 日本財団の「18歳意識調査」(17~19歳が対象のネット調査)です。2022年の「国や社会に対する意識調査」では、将来自分の国が「よくなる」と答えた日本の若者は13・9%。調査対象だった米、英、中、印、韓、日の6カ国の中で、最下位でした。

 その調査では、「自分は大人だと思う」「自分の行動で国や社会を変えられると思う」という質問に「はい」と答えた若者の割合も、日本は極端に少なかったんです。

 ――いずれも世論調査やアンケートです。控えめに答えるのが美徳とされるなどの「お国柄」も出るのではないでしょうか。

 そうかもしれませんが、実際の経済成長率や所得の状況も、それなりに反映されているのではないでしょうか。

 ピューの調査は先進国が中心ですね。途上国も多く含む21カ国を対象にしたユニセフの調査(21年)も見ました。15~24歳を対象に「子世代は親世代と比べて経済的にどうなると思うか」と尋ねていますが、「親世代より豊かになる」という回答が多いのは途上国で、エチオピアやインドネシアでは8割を超えていました。日本は3割足らずで、この調査でも最下位です。先進国の経済成長は満タンになりつつあって、そういう希望は持ちにくくなっているのかもしれません。

 ――昔は日本でも「よくなる」と思えたのでしょうか。

 私が学生時代を過ごした19…

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