ビル・ゲイツが予言していたパンデミック 「再び来る」への戦略は
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(66)がいま、一番力を入れているのが感染症対策だ。昨年離婚した元妻のメリンダさんと財団を立ち上げ、20年以上にわたり莫大(ばくだい)な私財を投資してきた。7年前にパンデミックの発生を「予言」していたゲイツ氏は、こう話す。
「今後20年の間に、50%の確率で再びパンデミックが来るリスクがある」
Bill Gates 1955年、米シアトル生まれ。75年にマイクロソフトを創業。2008年に同社の経営から身を引き、資産500億ドルの財団運営に専念する。近著に「パンデミックなき未来へ 僕たちにできること」(早川書房)。
僕たちは「運がよかった」だけ
――2015年の時点で「次の数十年で1千万人以上が亡くなる災厄は、戦争ではなく感染症だ」と予測できたのはなぜですか?
「僕たちの財団は貧しい国の感染症対策に力を入れていて、スペイン風邪から重症急性呼吸器症候群(SARS)まで、過去100年のあらゆるアウトブレーク(感染爆発)について研究している。その中で、人々が国境を越えて頻繁に移動するようになったことで、呼吸器系のウイルス感染症が瞬く間に広がることに気づいたんだ」
「専門家を集めて『何か、パンデミックの到来を防いでいるものがあるんだろうか』って尋ねたら、『基本的には何もない』というのが答えだった。この100年の間、我々は単に運がよかっただけで、いずれ運は尽きる。だから、準備しないといけないんだ、と」
――7年前といえば、ちょうど、エボラ出血熱がアウトブレークしたときです。
「『注目を集めるなら今だ』と思い、(米国の一流医学誌である)ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに投稿したり(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmp1502918)、TEDトークスの動画(https://www.ted.com/talks/bill_gates_the_next_outbreak_we_re_not_ready?language=ja
)に出演したりして、準備の必要性を訴えたんだ」
――で、反応は?
「動画は4千万回以上再生されたんだけど、95%は今回のパンデミックが起きた後だったね」
――つまり、今回のパンデミックは、来たるべくして来た、と。
「ひと言でいえば、我々は備…
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