独学で英語ペラペラのタクシー運転手 へこみまくった2年からの再起

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上田学
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 「高卒、留学経験なし」で30歳から英語の勉強を始め、4年で「ペラペラ」になったタクシー運転手、中山哲成さん(38)の勉強法を2020年3月に朝日新聞デジタル(https://www.asahi.com/articles/ASN3L3RX4N3DUTIL03S.html)で紹介した。

 中山さんが英語の勉強を始めたきっかけは、当時開催が目前に迫っていた東京五輪パラリンピックだった。多くの外国人観光客が訪れるはずだったからだ。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大で、この記事が配信された1週間後に五輪の延期が決まった。1年後に開かれた大会でも外国からの観光客の受け入れは認められなかった。

 タクシー業界にも逆風が吹き荒れたコロナ禍の日本。中山さんはその後、どうなったのか。気になって改めて取材すると、逆境の中でもしなやかにスキルを伸ばす姿があった。

     ◇

 今年5月、都内で中山さんと約2年ぶりに再会した。

 「インターネット上では『どうしているんだろう』『頑張ったのに五輪は無観客でかわいそうだね』という声をいただいていましたが、皆様のご想像通り。舞台があっての練習と同じで、英語も普段から使わなくなると、勉強すらやらなくなるもんなんですね」。

 中山さんは語った。

 29歳で都内のタクシー会社に就職し、その時点での「英会話力はゼロ」だった。2013年に東京五輪の開催が決まり、「今から始めれば間に合う」と英会話を学び始めた。

 試行錯誤しながらも独自の手法で習得していき、18年10月には業界団体が主催する英語のコンテストで最優秀賞を受賞。乗客からは「英語が話せる日本人の同僚よりうまい」と言われるほどになった。

 19年9月に勉強のノウハウ本を出すと、一時はAmazonの「英語の学習法」売れ筋ランキング1位を獲得。ネット掲示板にはスレッドが作られ、学習法をめぐって投稿が相次ぐなど大きな反響があった。

勉強やめ、ツイッターアカウント削除

 だが、コロナ禍で五輪は延期となり、相次いで出された緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で乗客も激減した。

 給与は歩合制のため、売り上げが収入に直結し、一時は半分近くに落ち込んだ。当時は結婚したばかりで、「このまま運転手を続けられるのか」と不安が募り、英会話の勉強どころではなくなった。

 「著書には『気楽に構えてテレビゲームを楽しむような気持ちで取り組め』とか書いていましたけど、生活に余裕がなくなると、勉強のことすら考えなくなり、もういいかなと思って、あっという間に時間が経ってしまいました」

コロナ禍という逆境に直面し、苦しんだ中山さん。「いまはワクワクしている」と言います。その境地に至るまでの意外な取り組みを記事の後半で紹介します。

 それまで考えを発信していたツイッターでも、「英会話のできるタクシー運転手」と名乗り続けられるのか確信が持てず、「炎上したら会社に迷惑をかけるかも」とも考えて、アカウント自体を削除してしまった。

 一方で、著書の読者からは「直接教えてほしい」との声も届いた。減った収入を埋めるため、副業を当て込んでオンライン英会話の講師募集に応募してみた。

 だが、その結果はことごとく…

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