第2回性暴力にNOと言って蹴飛ばす、あの日からの教訓 ヤン ヨンヒ監督

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聞き手・佐藤美鈴
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 映像業界における性加害・性暴力をなくそう、とする被害当事者や支援者の共同声明に賛同者として名を連ね、積極的に発信してきた映画監督のヤン ヨンヒさん(57)。在日コリアン2世として、韓国映画界の意識の変化や取り組みも踏まえながら、#MeTooは「告発する人、被害者だけでなく、男性も女性も関係なく、周りにいる全ての人の、古い考えとの闘いだ」と話します。

ヤン ヨンヒ

1964年生まれ、大阪出身の在日コリアン2世。米国NYニュースクール大学大学院メディア・スタディーズ修士号取得。高校教師、劇団活動、ラジオパーソナリティーなどを経て、報道番組やTVドキュメンタリーを制作。映画は、自身の家族を映したドキュメンタリー「ディア・ピョンヤン」、脚本・監督を手がけた「かぞくのくに」など。最新作「スープとイデオロギー」が公開中。

 ――映画界を中心に、日本でも#MeTooといえる動きが広がりつつあります

 「ついに、とも、やっと、とも思っています。いろんな国の映画関係者と会って#MeTooの話題になったとき、日本は声を上げにくい、声を上げる人が少ないんじゃないか、と言っていた。(ジャーナリストの)伊藤詩織さんのことはあっても、そのあと続くのが大変だろうとか、声を上げたい人は多くても周りで支えるのが弱いんじゃないか、とか。いろんな意味で日本は難しいかも、という声を聞いていました」

 「確かに戦争や人権問題で、世界各地で大規模なデモがあっても、日本では規模がすごく小さかったりする。性犯罪が少ないというよりは、性犯罪を告発する、申告する、それが検挙される、裁判で勝つという以前に裁判になるどころか、申告に対する警察の受理すら少ない国ですから」

 「性暴力はとてもわかりにくい犯罪で、本人も忘れようと気丈に振る舞う、でも家で一人なったときにトラウマみたいになって、いくら苦しんでいても人には見えない。ましてや時間がかかって、声を上げても、なんで今さら、と言われることもある。そういうときに、名前を出して告発した人に『応援してるよ』『頑張ってね』じゃなくて、『私も一緒に闘うよ』と言ってあげる人がどれぐらい出てくるかで、告発した人たちが踏ん張れるかどうかがあると思う。いま、文学界でも演劇界でも声が出てきて、下手なことできない、気をつけなきゃと、すでに間違いなく抑止力にはなっている。今とてもしんどい思いをしている被害者で、告発した人は、自分たちは社会を、人々の意識を変え始めているんだと、もっと自信を持ってほしいと思います」

韓国ではうねり 意識・制度の改革進む

 ――そうした思いから、声明に賛同者として名を連ねたり、様々な形で発信をされたりしているのでしょうか

 「#MeTooって、古い価値観との闘い。それは告発する人、被害者だけではなくて、男性も女性も関係なく、周りにいる全ての人の古い考えとの闘いだ、と。20代、30代の頃、特に演劇関係者、ジャーナリスト、映画の人たちと席を一緒にして言われたことは『女が男社会の中で生き残るためには、誰とでも寝られるぐらい、誰の前でもすぐ脱げるぐらい根性がないと』と。それはあなたの理屈、と反抗すると『生意気だからかわいくない』とか言われる」

 「仕事するためにはかわいく…

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