第5回映画の現場の絶対者が怒鳴るとき 原田眞人監督「僕も意識改革を」

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聞き手・細見卓司、佐藤美鈴
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 映画界で相次ぐ性被害の告発。告発した俳優たちを支援する人たちは「上下関係などを背景として加害側の横暴を許す制作体制がパワーハラスメントを生み出し、その延長線上に性加害が起こる」などと指摘しています。ベテラン映画監督の原田眞人さん(72)は、撮影現場で監督の「怒号が飛び交う」とSNS上で指摘され、「パワハラ監督」と名指しした映画関係者もいます。こうした批判を原田さんも認識しつつ、一連の性被害の告発や、自身への指摘をどう受け止めているのかを自らの言葉で語りたいと朝日新聞の取材に応じました。

はらだ・まさと

1949年生まれ、静岡県出身。79年に「さらば映画の友よ インディアンサマー」で映画監督デビュー。97年の「バウンス ko GALS」でブルーリボン賞監督賞受賞。ほかに「突入せよ!『あさま山荘』事件」「クライマーズ・ハイ」「燃えよ剣」「ヘルドッグス」(9月公開)など。

 ――一連の性被害の告発の動きをどう受け止めていますか

 「声をあげることはいいことだと思います。ただ、『監督は絶対的(な存在)だ』と言うけれど、どこからそんな感情を抱くのでしょう。撮影現場では指令系統のトップであるべきですが、現場以外ではそうではない。『監督の要求を断ったら、もう映画出演ができなくなるかもしれない』などというのは、僕はおかしいと思います。監督にそんな力はないですよ。一人の女優、役者を出演させないために、働きかけるというのはあり得ない」

 ――俳優は、人事権を持った監督やプロデューサーからキャスティングを条件に性行為などを迫られた時、断ったり拒んだりすれば「クビにされるのではないか」と不安を覚えるという声もあります

 「米国の場合、性加害を行ったのがハーベイ・ワインスタインという本当に力を持ったプロデューサーだったので、何年も告発できなかったのでしょう。しかし、(長年監督業をしてきた)僕から見て、そんな大した力がないと思われる監督たちにまで、なぜ恐怖感を抱いてしまうのか。むしろ、そういうケースがあるとすると、芸能プロダクションと俳優との関係性においてではないでしょうか。マネジャーの力が強く、そのことで恐怖感を抱き、実際にセクハラ行為をされて、うつ病になったという人も知っています」

はっきりモノを言う、でも「荒れた現場」にはしない

 「もちろん、前提として性行為を条件にキャスティングするのはあり得ないし、やってはいけないことです。そんなことが通用しないことは何年も前から分かっていることではないでしょうか。それなのに、また被害が繰り返し起きてしまっている現状がある。こうしたことを許さないためにも、加害者にも被害者にもならないよう、過去に被害にあった人の言葉や体験談などから学ぶべき点は多いはずです。意識を改革するために、もっと勉強しようよ」

 ――しかし、そもそも事務所に所属していないフリーランスの俳優の場合、監督やプロデューサーとイーブンの関係ではないと思います

 「事務所に入っていても、入…

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