第2回人口減の島に溶け込むコスプレイヤー Z世代が手がける地方創生とは

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ネットワーク報道本部統括マネジャー・佐々木学
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 人口176人、高齢化率8割超、平均年齢70歳。山形県酒田市の北西沖39キロに浮かぶ飛島(とびしま)は3年前、たった1人だった中学生が卒業して島を離れ、子どもがゼロになりました。スーパーもなければ、医者もいない。人口減少に突き進む日本の未来を想起させるこの小さな島に、この春、23歳の女性が就職しました。聞けば最近、島にぽつりぽつりと若い人が移住しているそうです。

 人口減の「最先端」で、いったい何が起きているのか。私は6年前まで、人口も経済も伸び盛りのベトナムで記者として過ごし、いま、日本で人口が減り続けている地方のニュースを発信するネットワーク報道本部で統括マネジャーを務めています。日本の将来を論じる参院選挙を前に、この目で島を見てみたいと思いました。

 対談に応じてくれたのは、福島県南相馬市出身の小林奈生さん(23)。同級生が東京を目指す中、地方への移住を選んだそうです。さっそく島伝統の舞踊を継承する一方、人気ゲーム「刀剣乱舞」のコスプレで観光振興プロジェクトに挑む。「Z世代」が仕掛ける等身大の地方創生プランとは……。(ネットワーク報道本部統括マネジャー・佐々木学)

記事の最後では、飛島でコスプレイヤーとしても活動している小林奈生さんを動画で紹介します。

きっかけは「一目ぼれ」

 《佐々木》 「人口減」と聞いて、ピンと来ますか?

 《小林奈生さん》 実家が福島県南相馬市なのですが、地元に帰ると中学校のクラスの数が減っているので「ああ、子どもが減っているんだな」と感じます。東日本大震災の影響もあって、市の人口は大きく減りました。

 《佐々木》 アメリカの実業家のイーロン・マスクさんがツイッターで「日本はいずれ存在しなくなるだろう」とつぶやき話題となりました。4月に公表された総務省のデータによると、日本の総人口(推計)は1億2550万2千人。前年より64万4千人も減っています。減少は11年連続で、この先も減り続ける見通しです。

 《小林さん》 私は祖父母も元気なので、まだ人口減の問題を「自分事」として感じてはいませんが、この先、社会人として税金を納めるようになれば、将来もらえる年金が少なくなるのかな、と感じるのかもしれません。

 《佐々木》 私は6年前までの4年間、ベトナムで暮らしていました。平均年齢は30歳ほど。子どもや若い人がたくさんいて、経済成長率も5%を超えていて、とにかく「活気」を感じました。それだけに、日本に帰ってくると国全体の「老い」を感じます。私は49歳ですが、日本の平均年齢もだいだいそのくらい。20歳近く違うので「年の差」はやむを得ませんが。

 その点でいうと、飛島の平均年齢は70歳だそうですね。どうして飛島に就職しようと思ったのですか。

 《小林さん》 去年の10月…

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    林尚行
    (朝日新聞政治部長=政治、経済、政策)
    2022年6月26日23時20分 投稿
    【視点】

    「ネットワーク報道本部統括マネジャー」なる役職、なんだかよくわからないと思いますが、要は地域発のニュースを掘り起こし、全国のみなさんにお届けする部長です。その佐々木さんが選んだテーマは「人口減」。対談相手は島に溶け込むコスプレイヤー。たまり

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2022年6月26日22時48分 投稿
    【視点】

    「生まれる子どもの数は減っていても、「地方で頑張ってみたい」という若い人はいます」という小林さんの言葉に励まされます。人口減即終わりのような都会人の見方は、あまりに短絡的です。長期的には難しい問題が多いとは言え、時間はたっぷり・ゆっくり流れ

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