架橋撤回から10年、「ポニョの港」で始まった工事 景観論争の末に

有料会員記事

西本秀
[PR]

 宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」の舞台のモデルになった広島県福山市景勝地、鞆(とも)の浦で、港の一部を埋め立て、道路橋を架ける計画を県が撤回表明して25日で10年がたつ。地元では代替策の山側トンネルの工事が始まった。激しい景観論争を経たまちはいま。

鞆の浦 東西に長い瀬戸内海の中間付近にあり、潮の流れの境目でもあるため、古くから「潮待ちの港」として栄えた。万葉集には、大伴(おおともの)旅人(たびと)らが詠んだ歌がある。石造りの常夜灯や、江戸時代に朝鮮通信使をもてなした「対潮楼(たいちょうろう)」など、往時の風情を伝える施設や建物が多く残る。宮崎駿監督は2008年公開の「崖の上のポニョ」をつくる前、鞆の浦に滞在して構想を練った。

 鞆の浦の中心街から北へ約1・5キロの山腹で、ショベルカーがうなりを上げる。県は5月24日、県道バイパスを通す延長2・1キロのトンネル工事を始めた。

 2024年3月の完成を予定する。県はバイパスの開通後、中心街に入る車の数を現在と比べて最大6分の1に抑えられるとみる。事業費は計110億円。

 鞆の浦は古民家が軒を並べ、主要ルートである県道でさえ幅が4メートルほどの狭い区間がある。観光シーズンの渋滞や住民の安全確保が長年の課題だった。

 県は1983年、鞆港の湾内を横切る埋め立て・架橋計画を策定した。ただ、「歴史ある景観を守れ」と反対する声が全国から上がった。地元では生活の利便性向上を望んで計画を支持する人も多かったが、湯崎英彦知事は12年6月25日、計画の撤回を表明した。

 県と福山市の現在の構想では…

この記事は有料会員記事です。残り821文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら