とても静かな朝だった。
2月24日、オリハ・ザウホロドニャさん(39)はウクライナの首都キーウ(キエフ)郊外の自宅にいた。
携帯電話の電源を入れた。
画面を見て、ぎょっとした。
ものすごい数の着信があった。
母や友人たちからだった。
「爆発音は聞こえなかったし、携帯を見るまでは状況が分かっていなかった」
砲弾がいつ降ってくるか分からない。
焦燥感にかられ、すぐさまキーウにあるオフィスへ向かおうとした。
終わらせなくてはいけない仕事があったからだ。
いつもならバスに乗って20分ほどで着く。
しかし、この日は無理だった。
バスもタクシーも動いていなかった。
道路はすべて封鎖され、母が暮らす実家への道も閉ざされていた。
防空シェルターでその晩を過ごした。
侵攻開始から2日後。
買ってきた数週間分の食料を自宅の冷蔵庫にしまいながら、ふと思った。
「本当にこのままでいいのだろうか? ずっと隠れて何もしない生活は耐えられそうにない」
外出禁止となる午後5時が…
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