第2回「もの言える僕らが残っていたら」 観光船会社を去った男性の後悔
なぜ、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」は沈んだのか。海上保安庁は、観光船業者や漁師ら多くの地元関係者から聞き取りを重ねている。その対象となった関係者の証言から、水面下で進む捜査の一端がうかんできた。
「船内に水が流れこんで、それが前方にたまったら水の逃げ道はない」
知床遊覧船(北海道斜里町)の関係者である男性が、海保の職員にそう説明したのは、ゴールデンウィーク(GW)が明けて数日後のことだった。2度目の聞き取りのときだという。
連載「ルポ知床事故 証言からたどる」(全3回)
北海道斜里町の知床半島沖で観光船が沈没した事故。船が出航する前に何が起きていたのか。海上保安庁は地元関係者への聞き取りで何を調べているのか。関係者の証言からたどる。
事故があった4月23日にカズワンから寄せられた118番通報では、「船首が浸水している」「バッテリーがダメ」と伝えられていた。また運航会社には「船首が30度傾いている」との連絡があった。
男性によると、カズワンの客…
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