被害広げた国の責任は消えない 原発事故の賠償指針に問われるものは
記者解説 編集委員・南相馬支局長 大月規義
東京電力福島第一原発の事故で、東電や国に損害賠償を求めた集団訴訟は全国で約30件、原告は約1万2千人に達した。このうち4件で最高裁第二小法廷は17日、国の責任を認めない判決を言い渡した。
東北沿岸を襲う巨大津波を国は予見できたか。大事な争点について最高裁は明確に判断しなかった。国が東電を指導して防潮堤を造らせても事故は防げなかった、と結論づけた。
一方、最高裁は3月に東電の上告を退け、4訴訟の各高裁が示した計約14億5千万円の追加賠償が確定している。このお金は東電だけが払う。
国は賠償の責任は免れた。だが、今も続いている被害について「無罪放免」されるわけではない。原発事故における国の失態まで風化させてはいけない。
起点は東海村JCO事故
23年前にさかのぼる。
「国の初動対応は必ずしも十分ではなかった。非常に適切な避難要請は、村長の判断で行われた」
1999年9月、茨城県東海…
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