世界各国で、ソーシャルメディアが選挙の勝敗を左右するほどの影響力を発揮し始めている。動画やライブ配信など発信手段が多様化し、低コストで時間や場所の制約なく主張を広められる利点がある。一方で、対立候補のデマを拡散する負の側面も強い。SNSで独自の主張を訴えて公開討論会を拒否する動きも広まっている。
フィリピンでは5月、SNSを選挙戦略の中心に据えて若者の支持を得たフェルディナンド・マルコス氏(64)が歴史的な圧勝をおさめた。マルコス氏ら有力候補は各地で選挙集会を開くたびに空中からドローンで撮影した写真や動画を自らのツイッターやフェイスブックに投稿した。会場で人がぎゅうぎゅう詰めになったように見える画像を使って支持者の多さを強調し、投稿を見た人にも支持を誘いかけるためだ。
英国の調査会社によると、フィリピンでは人口約1億1千万人の8割以上がSNSを使い、1日の平均利用時間は世界最長の4時間15分で日本の5倍に及ぶ。有権者の過半数は40歳未満のため、各候補は若い有権者の支持を得るためSNSでの発信に力を入れた。
その中で最も戦略にたけていたのがマルコス陣営だった。立候補など節目の発表はフェイスブックのライブ配信、長時間のインタビューや公約を紹介するドキュメンタリースタイルの動画はユーチューブ、選挙期間中の日々の動きはツイッターとツールを使い分けた。
動画アプリ「Tiktok」では、ポップ調やバラード調の音楽に乗せて選挙集会の印象的な場面や支持者からのメッセージを編集した動画を次々と配信した。マルコス氏の四つのSNSのフォロワーは今、合計で約1300万人に上る。
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