僕らの主将は遠投85メートルの女子選手 「こいつしかおらへん」

大下美倫
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 第104回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)の兵庫大会が25日開幕した。7月9日に初戦を迎える予定の三田西陵(兵庫)の主将は、部内で唯一の女子選手、東尾凜さん(3年)だ。

 遠投の記録は85メートルで、25人いる選手の中で上位。練習試合では捕手として130キロの球も受ける。毎日の練習メニューを上野敏史監督と相談して決め、指示を出しつつ、男子と同じ練習量をこなす。

 「チームを引っ張り、性別に関係なく双方が遠慮なく言い合える関係を作ってくれます」。副主将の南海斗選手(3年)はそう評する。

 でも、入学時は選手として野球を続けるつもりはなかった。

 4歳上の兄の影響で、小学2年生の時に地元の野球チームに入った。中学では軟式野球部で男子と一緒にプレーした。女子野球部がある高校に進学する選択肢もあったが、「甲子園の輝ける舞台に憧れていました」。昨夏、全国高校女子硬式野球選手権大会決勝の会場になったが、当時は女子の高校生が甲子園で戦う機会はなかった。マネジャーとして、甲子園をめざそうと思った。

 三田西陵に進学すると、上野監督から「選手としてやってみろ」と声をかけられた。男子と対等にプレーできる東尾さんのうわさを聞いていたという。マネジャーをやりたいという思いは強かったが、周りの仲間も「一緒に野球やろう」と言ってくれた。2週間の体験入部期間中、最後まで悩み、選手としてやっていくことを決めた。

 最初は男子との体格の違いや硬式の球が飛んでくることに不安を感じた。でも、練習試合を重ねていくうちに「自分も頑張ったらできる」と自信がついてきた。

 新チームができた昨夏、8人の3年生の選手から主将に選ばれた。部員たちの意見は「女子だからというのを超越して、こいつしかおらへんやん」。

 約1年間主将としてチームをまとめる苦労はあった。でも、東尾さんは「自分が女子であることは気にならなかった」と断言する。

 「球児として」最後の夏が来た。公式戦に出場することはできず、兵庫大会の試合中は南選手が主将になり、東尾さんは「ボールガール」になる。「本当は試合に出たい」という思いは消えないが、試合に出る選手のサポートなど自分にできることを模索する。「私を主将として認めてくれた思いに応えないとな」

 少しでも長い夏にしたいと思っている。(大下美倫)

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    遠藤謙
    (エンジニア)
    2022年6月25日23時22分 投稿
    【視点】

    この話が美談として語られているようだが、そもそもなぜ女性選手がいまだにでれていないのかが疑問。男子に混ざって硬式球を使うことが危険であるという主張もあるようだが、六大学野球では女性選手の出場は認められているため、両主催者の見解が異なるようだ