樹齢300年ブナの森に迫る風力発電計画 建設ラッシュに反対の声

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中山由美
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 国が再生可能エネルギー導入を促すなか、風力発電の建設計画が各地で急増している。山間地での大規模計画も目立ち、自然保護団体からは「生態系が壊される」と懸念の声が上がる。

 十和田八幡平国立公園に含まれる青森県八甲田山系。ニホンカモシカやイヌワシも生息する連峰の尾根約100キロにわたり、最大で高さ200メートルの風車150基を建てる計画が進む。

 陸上風発国内最大級の総出力約60万キロワットの「みちのく風力発電事業(仮称)」。青森市など2市4町にまたがる約1万7300ヘクタールの予定地は、JR山手線の内側面積の3倍近い広さで、大半が国有林だ。

 風車を建てる計画の尾根には、樹齢約300年とみられるブナの巨木が並ぶ。地元の山ガイド、川崎恭子さんは「環境のための自然エネルギーをうたい、森をつぶすのは本末転倒」と訴える。現地調査した日本自然保護協会の若松伸彦博士(環境学)は「伐採すれば、今のような森に戻るのに最低400年かかる。風発すべてに反対ではないが、ここは手を付けてはいけない場所だ」と話す。

 水質汚染や土砂崩れも懸念し、山ガイドらは5月、事業の中止を求める約8千筆の署名を青森県の三村申吾知事に提出。三村知事は6月県議会で、「再エネならどこでも開発してよいわけではない」と発言した。

 事業を進める業界最大手のユーラスエナジーホールディングス(東京都港区)の担当者は八甲田山を選んだ理由を「長く連なる尾根に安定した風が吹く国内有数の好条件」と説明。地元などの反対の声には「意見交換をし、環境影響の低減を図りたい」としている。

 風発建設に反対する声は各地で上がっている。

 三重県松阪市大台町を想定した「三重松阪蓮(はちす)ウィンドファーム発電所」(約60基)は昨夏、大台町長が反対を表明。一見勝之・三重県知事は、対象地区に希少野生動植物が生息することから「自然的・文化的な観点から保全優先度が極めて高い」と、中止か抜本的見直しが必要と表明した。

 日本自然保護協会は、八甲田のほか福井県美浜町岡山県鏡野町など10カ所以上の風発事業を調査し、「自然環境に配慮した立地を」と環境や生物多様性を守るよう意見書を出している。オンライン署名サイト「Change.org」には建設中止を求める活動が現在、全国で42件ある。

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