被災把握にDX 早く安全「一石数鳥」 九州地方整備局がめざすのは

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外尾誠
【動画】災害時に被災状況を迅速に把握するため、国交省でDXが進む=金子淳・外尾誠撮影、九州地方整備局提供
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 頻発する災害からの復旧には被害の把握が欠かせない。だが、現場の調査には危険が伴い、時間もかかる。国土交通省九州地方整備局(九地整)は全国に先駆けて、この分野へのデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル化による変革)を進める。安全で早く、便利で経費削減にもつながる「一石数鳥」の取り組みとして、全国から注目が集まっている。

 5月末、福岡県久留米市にある研修施設で、九地整の緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)がその技術を披露した。派遣隊は災害後の現地調査などを通じて、被災地をいち早く支援する組織だ。

 ドローンの活用では、被災による破損を再現した堤防を上空から撮影。データをパソコンソフトに取り込むと、モニターには堤防の3D画像が映し出された。画面上でくるくると全方位に動かせ、ひび割れなどの破損箇所は拡大して確認できる。

 派遣隊を束ねる災害対策マネジメント室の田畑浩規・課長補佐は「早く的確に状況がつかめる。労力的にも安全面からも非常にありがたい」と効果を実感する。田畑さんは近年、九州で起きたほぼ全ての大規模災害に出動したという全国トップクラスのドローンパイロットだ。

測量で大活躍するのは、おなじみのあのツール

 「測量にはこれも使います」。田畑さんがポケットから出したのは、レーダー測量装置が搭載されたiPhoneだ。歩きながら堤防の擁壁を撮影すると、すぐに写真のような画像が表示された。

 「点群データ」と呼ばれる3次元の点の集まりで、高精度の3Dモデルで擁壁を再現できる。画面にタッチして始点と終点を設定すると、その間の長さがすぐに示された。

 災害後の復旧費は国が大半を負担するが、現場の自治体は被害を報告した上で復旧の方法や費用を申請する。それが適正かどうかを確認して工費を決める国の「災害査定」を受ける。

 二次災害の恐れもある中、現場は一連の手続きのために測量や撮影などの調査に追われる。その負担軽減や効率化に期待されるのがDXだという。

 全国と比べても災害が多い現場を抱える九地整は以前からDXの活用について研究を進め、昨年4月には「インフラDX推進室」を設けた。コロナ禍で非接触型の作業が求められる中、防災だけでなく、公共事業全般のDXを専従で進める。

調査効率は10倍以上 外注すれば約2千万円かかる調査が自前で

 推進室の房前和朋・建設専門官は「DXで調査の効率は10倍以上向上する」と語る。例えば、赤白のポールや巻き尺、傾斜計などを使う従来型の調査を専門業者に外注した場合、約2千万円の費用で2週間ほどかかる。そうした作業が、DXを活用すれば、自前の人員でたった1日で終えられるという。調査データも、関係者がクラウド上で簡単に共有できる利点もある。

 実際、今年1月に日向灘を震源に震度5強が観測された地震に出動した派遣隊員らは、現地作業を90分で終え、データ解析を含めても1日で調査を終了した。

 九地整は、ドローン撮影の映…

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