対ロシア制裁によるエネルギー価格高騰が、欧米の政権を揺るがすとの期待が、ロシアで高まっている。自国民の反発で欧米のウクライナ支援が減れば、ロシア軍の苦戦続きの状況が転換する可能性があるためだ。ただ、ロシア経済も夏から秋以降、制裁の影響が本格的に出始めるという見方もあり、「我慢比べ」の様相になっている。
「今回の危機は欧州連合(EU)の低所得者層を直撃している。ポピュリズムや社会の過激な風潮を招き、近い将来、エリートの交代が起こるだろう」
ロシアのプーチン大統領は17日、国際経済フォーラムでの演説で、対ロシア制裁などによる最近の物価高騰は、ロシアよりも欧州への打撃になると警告した。
ロシアのウクライナ侵攻後、欧米は厳しい制裁でロシア経済に打撃を与える狙いだった。だが、供給不安から石油やガスなどの価格が高騰。ブーメランのように自国の生活を直撃している。
ロシアメディアも連日のように、インフレに苦しむ欧米の姿を報道している。
専門家は「バイデン米大統領が危機の責任をプーチン大統領に転嫁しようとしても国民はだまされず、(11月の米中間選挙で)民主党は敗北するだろう」と予想。親プーチンのテレビ司会者ウラジーミル・ソロビヨフ氏は番組で、「(野党の)共和党が勝てば、『なぜそれほどの資金を送るのか』と言うだろう」と期待した。
国外に拠点のあるロシア系メディア「メドゥーザ」は5月、ロシア大統領府に近い情報筋の話として、政府が「戦争が長引けば、欧州は資金と軍事の両面で支援に疲れる」ほか、暖房需要が増す冬を前に「石油とガスでロシアと交渉する必要がある」とみていると伝えた。
ロシアは当初、短期間で首都キーウ(キエフ)などを制圧し、親ロシアの傀儡(かいらい)政権樹立を目指していたとされる。
戦況が思い通りの展開にならず、ウクライナ軍の抵抗に苦戦した最大の理由が、欧米の軍事支援だ。
戦争が長期化して欧米の「支援疲れ」が強まれば、ウクライナ軍が弱体化して戦況を有利にできるとの思惑が、ロシアにはある。
では、制裁はロシア経済に打…

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