公立校の191センチ右腕、神戸国際大付を苦しめる 目標はあの投手
(26日、全国高校野球選手権兵庫大会1回戦 神戸国際大付3―1御影、ベイコム野球場)
公立校の長身右腕が、昨夏の甲子園8強の強豪を苦しめた。
御影のエース・奥居瑞樹(3年)が、神戸国際大付打線を7安打3失点に抑える好投。打っても適時三塁打を放ち、球場を大いに沸かせた。
身長191センチ、体重82キロ。プロ野球・千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希を想起させるような、角度のある速球は威力十分だった。
あごが上がり気味になるなど、神戸国際大付の打者のフォームを崩し、高めの球を振らせた。カウントを取るスライダー、落ちる球も効果的だった。
「背が高いぐらいしか、相手投手の情報がなかった。苦労しました」
神戸国際大付の青木尚龍監督にそう言わせた。
六回まで5安打2失点の力投。七回には自ら右中間に適時三塁打を放ち、1点差に迫った。
その裏にソロ本塁打を浴びたが、堂々の3失点完投だった。
未完の大器だ。
入学時から右ひじ痛に苦しみ、リハビリに費やしてきた。本格的に試合で投げ出したのは2年秋に新チームになってから。
地道にトレーニングを重ね、球速は最速で140キロに伸びた。
プロのスカウトも一度、視察に訪れたという。
奥居の目に涙はなかった。
「7点差(コールド負け)も考えていた。九回まで試合ができて、体力がもった。3年間の成長です。最後の大会でここまで投げられて幸せでした」
目標の投手にはやはり、佐々木朗希を挙げた。
「あの柔軟性は見習いたい」
大学でも野球を続ける。確かな自信を得た125球だった。(編集委員・稲崎航一)