明治安田生命の元営業社員 新たな詐取の疑いも 会社は顧客に和解金

小出大貴 柴田秀並
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 明治安田生命保険の70代の元女性営業社員が3世帯の顧客からお金をだまし取っていた問題で、ほかにも被害を受けた可能性がある顧客が見つかり、同社が計5世帯9人からお金をだまし取っていた疑いがあるとみていることがわかった。ただ、新たに判明した事案について元社員や顧客への調査で不正を確認できなかったといい、同社は被害を受けた可能性がある顧客に「和解金」を支払って解決する手続きをとった。

 同社の広報担当者は、朝日新聞の取材に事実関係を認めているが、「これ以上被害が広がる恐れがない」などとして公表していない。

 関係者によると、元社員は、保険契約を担保に生保会社からお金を借りる「契約者貸付制度」を悪用。顧客に無断で利用を申請し、顧客の口座に振り込まれたお金を勝手に下ろして使っていた。銀行口座の暗証番号は顧客から聞き出していたという。そのほか、顧客から保険料を現金で受け取り、だまし取っていた疑いのある事案も見つかった。

 昨年10月に顧客の家族からの連絡で発覚。元社員は3世帯の顧客からお金をだまし取り、同社は顧客に計1千万円強を返金する対応を取ったという。明治安田は今月初旬、取材に対して事実関係を認め、元社員も不正を認めているなどとして、「この件の調査は終了した」と説明していた。

 しかし、実際には同様の手口で顧客の口座から不正にお金を引き出された疑いがある事案を把握し、調べを続けていた。ただ、新たな事案について元社員は不正をしたかどうか覚えていないなどとし、顧客への調査でも不正が確認できなかったため、明治安田は不正事案として認定せず、顧客に和解金を支払う手続きを取ったという。和解金の金額などの詳細は明らかにしていない。

 同社の広報担当者は「事実認定はできないものの、お客さまの協力を得ながら、お客さまに寄り添った対応をし、お客さまにはご理解、ご納得をいただいております」と答えた。

 同社は顧客に返金したお金や和解金について元社員に請求することも選択肢に、処分を検討している。

 保険契約を担保にする契約者貸付制度は、限度額近くまで借りて被保険者が亡くなった場合、保険金の大半がもらえなくなってしまう。(小出大貴、柴田秀並)

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