「命守るために、逃げる」 50人犠牲の球磨川流域で続く試行錯誤

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今村建二
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 治水対策が脆弱(ぜいじゃく)な中、命を守るためにいかに逃げるか――。2020年7月の熊本豪雨で、50人が犠牲になった球磨川流域の防災関係者は異口同音に語る。熊本県は新たな川辺川ダム建設を対策の柱に見込むが、目標通りに進んでも完成は35年度。その間も常に大雨の危険はあり、流域自治体は住民避難について試行錯誤を続けている。

 球磨川は流域自治体と国土交通省気象庁などが加わる「流域タイムライン(TL)」の先進地として知られる。

 「大雨警報が出たら高齢者等避難情報を出す」「水位が3メートルを超えたら避難指示を出す」など気象や河川の情報に応じて、自治体や関係機関が時系列の対応策をあらかじめ決めておくのがTLだ。

「全国の模範となる流域タイムラインめざす」

 今年5月、流域自治体の首長らが集まった球磨川流域TL検討会で、座長の松尾一郎・東大大学院客員教授は「適切に逃げるには仕組みが必要。全国の模範となる流域TLをめざしたい」と力を込めた。

 市町村ごとにTLを作ることが多い中、人吉市、球磨村、八代市は熊本豪雨前から連携。それでも、球磨川が氾濫(はんらん)する前から支流で水があふれ被害を拡大させた教訓から、今年から支流を管理する熊本県がTLに加わった。上流から下流まで流域全12市町村がそろい、一体となってTLの充実に取り組む。

 国交省は流域TLについて、今年度中に全国に109ある1級水系での導入をめざす。国交省河川環境課の木村勲企画専門官は「災害は自治体の枠を超えて広域で起こる。自治体同士での危機感の共有が必要」と話し、球磨川流域の取り組みに期待を寄せる。

 だが、関係機関が多岐にわたれば情報量も増え、その分、TLも複雑になる。自治体の防災担当者からは「この情報量をどう役場内で共有するか」「やりながら理解するしかない」と戸惑いの声も聞かれる。

想定を超える雨量、実際の避難行動 課題山積

 そもそも熊本豪雨でもTLに…

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