海保、出航判断を重点聴取か 関係者の証言で判明 知床事故

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 北海道・知床半島沖で起きた観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の事故。海上保安庁が事故後、地元の多くの漁業関係者に対し、カズワンの出航判断の是非について聞き取りを進めていることが地元関係者の証言でわかった。

 「うちら漁師でも引き返してきたのに、出航するの?」

 地元漁師の男性は4月23日朝、知床遊覧船の事務所前で会ったカズワンの豊田徳幸船長にそう伝えた。「これから波も出てくるから行かない方がいい」。男性が忠告すると、豊田氏は「まあ、行けるところまで行ってみる」と答えた。

 カズワンの出航準備を手伝いに来ていた別の男性は、豊田氏に「午後から波が高くなるから気をつけろ」と忠告した。

 この男性は事故後、海上保安庁の聞き取りにこう伝えた。

 「船内に水が流れこんで、それが前方にたまったら水の逃げ道はない」。ゴールデンウィークが明けて数日後のことだった。

 事故があった4月23日にカズワンから寄せられた118番通報では、「船首が浸水している」と伝えられていた。運航会社には「船首が30度傾いている」との連絡があった。

 男性によると、カズワンの客室の前方には下におりる2段の階段がある。

 階段をおりた低い部分に大量の水がたまってしまうと、前方に傾いた船体は元には戻らない――。

 船体への浸水がどのように生じたのか詳しいプロセスは明らかになっていないが、男性は自身のそんな見立ても海保側に伝えた。