夜の香港国際空港。ロンドン行きフライトの出発時間が近づく午後10時ごろになると、1年あまり前から毎日、見られるようになった光景がある。
すすり泣き、抱きしめ合い、出発ゲートの奥に姿が見えなくなるまで手を振り続ける姿――。
どこの空港でもみられる、普通の別れではない。生まれ育った香港に失望し、断腸の思いで移民する人たちだ。
【連載】破られた「50年不変」 香港返還25年
香港が英国から中国に返還されて、7月1日で25年。高度な自治は「50年不変」とした中国共産党の約束は、折り返しを待たず破られました。人々はどう感じ、どう生きていくのでしょうか。現地から報告します。
「香港はあまりに変わってしまった」。6月中旬、香港人の新婚夫婦(いずれも31歳)も、両親や友人ら約20人との別れを惜しみながら、出発ゲートへ向かった。
「将来に子供を産んで、育て…
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- 【視点】
2014年の「雨傘運動」の時に訪ねた香港では、「移民という選択は取れない。闘うしかない」という声を聞いた。 いわく、「97年の返還の後は移民した人が多かったが、移住先での定着に苦労が多く、戻ってきた人も多かった。いま香港で若い人が民主
- 【視点】
1997年7月1日に中国に返還される前の香港は、英国の植民地でした。ただ、「植民地」という言葉が醸し出すイメージと当時の香港は、かなり違っていたと記憶しています。香港のトップには英国から派遣された総督がいて、民主的な選挙はありませんでしたが