第3回「もう私が知っている選挙じゃない」 香港政治の専門家、最後の分析

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 私の研究人生は終わった――。香港が中国に返還されて25年を迎えるにあたり、こう話す学者がいる。香港中文大の蔡子強上級講師。これまで政府に厳しい意見も述べるなど、メディアから引っ張りだこだった。民主化への歩みが踏みにじられたこの年月をどう見るのか。思いを聞いた。

 ――25年前、今の香港を想像していましたか。

 「予想だにしていませんでした。1997年の香港返還後、社会情勢が悪化すると予想した人がいましたが、実際はそうならなかった。だからその後、民主派の危機感は大きくなかった。まさか香港がこんな状態になるとは誰も思っていなかったと思います」

破られた「不変」 三つの理由

 ――なぜこうなったのでしょうか。

 「三つの理由があると思っています。最も重要なのは国際環境の変化です。97年当時は米中関係が比較的良好でした。米国にとって中国はまだ脅威ではなかった。しかし中国の経済力、国力が強大になるにつれて、両国が覇権を争うようになりました」

 ――米中関係が原因ですか。

 「そうです。特にトランプ政権が中国に経済制裁を行い、状況が悪化しました。背景には、欧米の中国に対する見方が明確に変わったことがあります。中国は経済発展によって自由で民主的になるどころか、専制的な国家になった。それまで数十年間の対中政策は誤りだった。そうみるようになった。こうして緊張が高まった結果、中国も国家安全を何より重要視するようになり、その影響を香港も受けたのです」

 ――二つ目の理由は。

 「中国の指導者の変化です…

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