第11回低投票率は「悪い」のか 投票義務化では実現しない民主主義の根幹

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聞き手・池田伸壹
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 国政選挙が行われるたび、問題視される低い投票率。投票を「国民の義務」と位置づけ、棄権した際は罰金などのペナルティーを導入すべきだ――という意見も一部の有識者から出ています。実は、ベルギーオーストラリアなど30カ国近くで導入されている「義務投票制」。投票の義務化をどう考えるべきか。そもそも、投票率が低いということは「悪い」のか。長年、国際的な視点から日本政治を実証的に研究してきた政治学者の河野勝さんに聞きました。

こうの・まさる

1962年生まれ。早稲田大学大学院教授。日本政治や選挙に詳しい。カナダブリティッシュコロンビア大学助教授などを経て現職。著書に「政治を科学することは可能か」など。

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 ――投票が義務になっている国もあります。低投票率が問題になっている日本でも、投票義務制を導入することは投票率を上げる有効な手段になるでしょうか。

 「投票は民主主義において重要です。投票率が高いと選挙結果の正統性が増すのも間違いないでしょう。投票率は高い方がいい。とはいえ、投票率さえ高ければいいというわけでもありません。投票率を上げる目的のため、罰則などで投票を義務化することが手段としてふさわしいとは言い切れません」

低投票率に込められたメッセージ

 ――投票率が低いことをどうとらえていますか。

 「低い投票率にも、メッセージが込められています」

 「日本では第2次安倍政権以降、国政選挙の投票率が低迷してきました。『安倍一強』とまでよばれた政治状況としては、皮肉というほかありません。政権与党や霞が関といった政治エリートの世界では『一強』が実現していても、一般有権者の中には冷めた目で政権を見ていた人が一定数いて、投票に向かわなかったのではないか、という印象を私は持っています。投票をしない人すべてがとは言いませんが、受動的に流されているのでなく、考えた上で積極的に棄権するという有権者も多くいると思うのです」

 ――では投票する人が少ないということは、政権与党にとって有利なのでしょうか。

 「いいえ、そうとも言えませ…

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