「来月からパンが少し黒っぽくなる」エジプト庶民の主食に思わぬ異変
カイロ=武石英史郎
ウクライナ危機や気候変動による世界的な食料価格の高騰が中東やアフリカを直撃している。エジプトでは主食のパンを政府が国民に激安で配給し、胃袋を満たすことで民心を安定させてきた伝統の制度が揺らぎ始めている。
午前8時。数千枚の平たいパンが積み上がった店先に、女性や子ども、お年寄りが詰めかけてきた。みんなパン専用の大きなかごを持参し、30枚、50枚と大量に買っていく。
エジプトの首都カイロ郊外にあるパン屋の顧客は近所の約250世帯。1時間ほどで、ほぼ売り切ると、レジの引き出しは1エジプトポンド(約7・2円)の硬貨でいっぱいになった。
政府補助金に支えられた配給…